明細書の作成・提出のルールが形骸化している

つまり、会計責任者は年に一回、政治資金収支報告書を作成・提出するだけでなく、その記載の根拠となる会計帳簿を、政治団体・政党等の事務所に常時備え付けることとされている。これは、記載事項となる政治資金の収支が発生する都度、会計帳簿に記載することを前提としている。

郷原信郎『“歪んだ法”に壊される日本 事件・事故の裏側にある「闇」』(KADOKAWA)

そして、会計責任者が知らないところで収支が発生することがないよう、政治団体の代表者等が、寄附を受けたり、支出をしたりした場合に、七日以内に明細書を作成して会計責任者に提出することを義務付け、会計責任者等が、その明細書に基づいて会計帳簿への記載をすることができるようにしている。

これは、政治資金の収支を、発生の都度、逐次、処理することを求める規定なのであるが、実際には、このような明細書の作成・提出の期限に関するルールは形骸化し、会計帳簿の記載、明細書の作成は、収支報告書の作成の時期にまとめて行われているようだ。

逐次・迅速に収支を把握して処理する政治資金規正法のルールがあっても、その記録化についてのルールがないために、収支報告書の作成・提出と併せてまとめて会計帳簿、明細書の処理をしても、提出する収支報告書上は証拠が残らず、明細書の提出義務違反等で処罰されることもない。それが、逐次・迅速処理のルールの形骸化につながっているのである。

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