報告は客観的な数字や主語を明確にする

5.「事実」と「意見」を分ける

問題を複雑化し、難しくする1つの原因に、事実と意見を混同してしまうということがあります。たとえば、あなた自身が「うちの会社の朝礼はつまらないし、時間も長いからやめるべきだ」と腹が立ったとしましょう。

ただし、それは客観的な事実であると言えるでしょうか? 「つまらない」というのも「時間が長い」というのも、それはあなたの感覚であり、意見かもしれません。他の人にとっては、つまらなくもなければ、長いとも感じないかもしれないのです。

怒りやイライラが起きたり、不安や恐れを感じたときには、それを感じた理由が、はたして客観的な事実か、自分の感覚や意見なのかを見極める必要があります。

事実と意見を分けるのは、日常の仕事の中でも非常に重要な力になります。上司に仕事の報告をするときでも、つねに事実と意見を分けて伝えることが必要です。

たとえば、上司にクライアントの今回のプロジェクトに対する取り組みを報告するとしましょう。

「A社は予算的にかなり厳しいようで、できれば今回のプロジェクトからは手を引きたがっているようです」と、報告したとします。

上司にとってみれば、予算的に厳しい状況が事実なのか、それともあなたの単なる見立てなのかが、分かりにくい内容です。A社が手を引きたがっているというのも、あなたの意見や感想にすぎないのか、

本当にその事実があるのかどうかも分かりにくい。

予算がいくらしかないとか、A社の誰々の話ですが、というように客観的な数字や主語を明確にすること。逆に自分が上司の場合、部下の話している内容が事実なのか、それとも意見や願望なのかを分けて理解することが必要になります。

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感情コントロールの回路を完成させる

6.「問題」と「感情」を分ける

「事実と意見の分離」を発展させたものが「問題と感情の分離」です。たとえば部下の仕事が遅くて締め切りを守れなかったとします。「締め切りを守らないなんて社会人として失格だ!」と怒るのは感情です。

そうではなく、「締め切りを守らなかった」という問題と、「そのことが許せない」という感情に分けて、問題は問題として、「なぜ彼は締め切りが守れなかったのか?」と冷静に対処する。

感情が湧き起こるのは致し方ないのですが、それによって大事な「問題」を見過ごすことがないようにすべきです。

「事実と意見」を混同しない、さらに「問題と感情」を混同しない。それらを分離することで、感情コントロールの回路が次第にできあがってくるのです。