締めのラーメンは“脂肪のダブルパンチ”

また、一緒に食べるおつまみの選択も大事だという。

「特に炭水化物(糖質)のとりすぎには注意が必要です。アルコールは肝臓からのブドウ糖放出を抑制するので、血糖値が上がりにくく、空腹感を覚えがち。そこで空腹感を満たすため、糖質となるお好み焼きや、焼きそばといった炭水化物をおつまみに選んでしまうと、ますます脂肪が蓄積されるという負のスパイラルに陥ってしまいます」

アルコール代謝によって脂肪が蓄積されるうえに、おつまみからの脂肪も加算されるとなれば“脂肪のダブルパンチ”である。飲んだ後の締めのラーメンの味は格別だが、アルコールが生み出す空腹感にだまされてはいけないのだ。

「酒量を減らす」「おつまみに気をつける」というのは繰り返し言われてきたことであるが、ほかに気をつけるべきポイントはあるのだろうか?

健診結果でチェックすべき3つの項目

「定期的な健診を受けることです。ここで最も大事なのは、健診前だからといって、お酒をやめないこと。健診は普段の生活状態で受けなければ意味がありません。お酒をやめていい結果が出たとしても、それは一過性のもの。自身の肝臓の本当の実力を知るため、また今のペースでお酒を飲んで、どれだけ肝臓がダメージを受けているかを直視するためにも、健診の前も普段通りの生活を送ることをお勧めします」

葉石かおり『酒好き医師が教える 最高の飲み方』(日経ビジネス人文庫)

実に耳が痛いアドバイスであるが、健診はいい数値を出すことが目的ではない。今の自分の体の状態を正しく知ることが目的なのである。

検査結果が悪かったら1カ月は酒をやめ、再検査する。それでも数値が悪いようなら、アルコールとは別の原因が考えられる。隠れている病気を見つけるためにも、「健診前だけ断酒する」という“その場しのぎ”はもうやめよう。

浅部さんによると、検査結果でチェックすべきポイントは中性脂肪(TG)のほか、肝臓の解毒作用に寄与するγ‐GTP、肝細胞がどれだけ壊れたかの指針となるALT(GPT)の3つだという。ただし、脂肪肝の場合は、血液検査に加え、超音波検査やCTスキャンと合わせて診断してもらうのが確実である。

脂肪肝が増えていることもあってか、脂肪肝への効果をうたったサプリメントも多く登場しているが、「肝臓に効かせようとするサプリメントは、逆効果になる場合もある」という。特にβカロチンやビタミンEなど脂溶性のものについては、体に蓄積する可能性があるので、素人判断で飲むのは避け、医師に相談してから飲むほうがいい。

「脂肪肝に効く」という確実なエビデンスがあるのは、食事療法と運動療法の2つのみ。酒量を控え、適度な運動とバランスの良い食事こそが特効薬となる。

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