肝臓に脂肪が蓄積される“フォアグラ状態”

BMI(体格指数)は人間の体格のバランスを把握するための指数で、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算される。

欧米人と比較しても、日本人の脂肪肝の罹患率はかなり高いというデータもある。食事の欧米化によって、日本に蔓延し始めた脂肪肝は、そもそもどういう状態を指すのだろうか?

「脂肪肝とは肝臓(肝細胞)に脂肪(特に中性脂肪)が蓄積した状態のこと。分かりやすく言えば、“フォアグラ状態の肝臓”です。脂肪肝になるメカニズムは実にシンプルで、肝臓から出ていく『使う脂肪』よりも、肝臓が取りこむ『作る脂肪』が多いから。つまり、使われなかった脂肪が“貯金“として肝臓に蓄積することにより起こります」

お金の貯金ならありがたいが、脂肪の貯金は迷惑な限りだ。だが、実際に脂肪肝と診断された人はどれだけ危機感を抱いているのだろうか。正直「放置しておいても大丈夫なのでは?」と安易に考えてしまいがちである。

だがそれは大きな間違いのようだ。

「脂肪肝を甘く見てはいけません。脂肪肝を放置して、生活習慣を改めないでいると、炎症を起こしたり、線維化(慢性的な炎症により繊維組織が増殖していくこと)が進んで肝臓が硬くなったりして、果ては肝硬変、肝がんになる可能性があります。肝臓は再生力が高いため、進行はゆっくりです。そのため、あるとき気づいたら、悪化していたということも少なくありません」

大量飲酒しているとアルコール性脂肪肝に

どうやら、脂肪肝を甘く見てはいけないようだ。浅部さんによると「脂肪肝の原因は主にカロリー過多の食事や慢性的な運動不足のほか、アルコールそのものが原因になる」という。

「アルコールは太らない」どころか、脂肪肝を誘発する直接の原因だったとは! 酒好きにとっては「えーっ!」と叫びたくなるような話である(私だって叫びたい)。

「脂肪肝には大量飲酒が原因のアルコール性脂肪肝と、肥満、脂質異常、糖尿病が関与する非アルコール性脂肪肝の2タイプがあります。一般に非アルコール性脂肪肝の患者の方が多いのですが、“酒飲み”の方の場合は、前者である可能性が高いといってもいいでしょう」

アルコールが脂肪肝の直接の原因になり得るということが分かったところで、次に知りたいのが、どのようにして脂肪肝へとつながるのかという点である。