お酒を飲んで、「二日酔い」を避ける方法はあるのか。酒ジャーナリスト葉石かおりさんの著書『酒好き医師が教える 最高の飲み方』(日経ビジネス人文庫)より、東海大学医学部の松嶋成志教授のアドバイスを紹介する――。
居酒屋で乾杯する多くの人々の手とマグビール
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悪酔いしないために、何を食べればいいか

「本物の左党(酒飲み)は塩を肴に酒を飲む」

昔からこんなことが言われているが、「確かに」と思うことが多々ある。

酒豪の多くは酒を飲み始めると箸が止まる。実際、私もその口で、酒が進むにつれ、「悪酔いする」と分かっていながらも、つい飲むことに夢中になり、食べる量が激減してしまう。

しかし、肴をほとんど食べない“酒主体の宴”の翌日は、予想通り吐き気をともなった激しい二日酔いにみまわれることがほとんどだ。

反対にきちんと食べて飲んだときは二日酔いになることはまずなく、体調も万全。「塩が肴」というと、渋くてカッコイイ気もするが、実体験から考えてもカラダにいいことは何もなさそうだ。実際、空きっ腹でお酒を飲んで、痛い目に遭った読者の方も少なからずいると思う。

では、悪酔いしないためには、何を食べればいいのだろうか。さらに、どのタイミングで食べればいいのか?

何か食べたほうがいいのは分かるが、具体的にはよく分からない。牛乳を事前に飲むという人もいるが、本当に効果があるのだろうか。

胃や腸などの消化器系のメカニズムに詳しい東海大学医学部教授の松嶋成志さんに話を聞いた。

アルコール血中濃度が身体に与える悪影響

どんな食べ物を事前に、もしくは飲み会の最初に食べると酔いにくくなるかは、「お酒に強くない人」にとっても重要だ。私の知人に「お酒は好きだけど弱いんです。だから飲み会の前には牛乳やサプリは欠かせません」という人がいる。また、人に合わせようとする日本人は、宴会などで無理をしてお酒を飲もうとする人が少なくないのだ。

「二日酔い、悪酔いを防ぐのに、気をつけなくてはならないのは、アルコールの血中濃度を急激にアップさせないことです。血中濃度が高くなることは、酔いが回るということ。悪酔いの原因です。お酒に強くない人なら、気持ち悪くなったりフラフラしたりします。さらに、血中濃度が高くなってくると、嘔吐したり、まともに立てなくなったりします」と松嶋さんは話す。