「いきなり唐揚げ」が厳しい人はチーズを

とはいえ、いくらアルコールの吸収を遅らせるといっても、「油を最初にとるのは、ちょっと……」と思う人も多いだろう。

「血中アルコール濃度を上げないという観点では、油分を先にとることが理にかなっています。ただし、油といってももちろんそのままではなく、刺身にオリーブオイルをかけた魚介類のカルパッチョ、マヨネーズを使ったポテトサラダなど油を使った前菜向けの料理は多くあります。こういった油を使った料理を最初に食べるといいでしょう。

最初に食べるともたれそうですが、唐揚げ、フライドポテトなども効果が期待できます(食べ過ぎに注意)。お酒と混じり合って半固形になるような食べ物だと、より腸に送られにくくなります。胃や腸にとってアルコール吸収が不利となる状況を、いかにおつまみで作るかがアルコール血中濃度を上げないポイントとなります」

クリスピーフライドチキンとジャガイモ。
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いきなり油を使った料理はきついという人には、乳脂肪分を含むチーズを食べるという方法もあるという。

牛乳も胃粘膜を保護する効果が期待できる

では、「お酒を飲む前に牛乳を飲む」という方法は効果があるのだろうか。

「牛乳には4%弱ほどの脂肪分が含まれていますから、多少なりとも効果は期待できます。また、牛乳にはたんぱく質が多く含まれているので、胃粘膜の保護効果は期待できます。少量では胃全体に膜を張るまではいきませんが、ある程度の効果はあるでしょう」という。

松嶋さんによると、「油に加え、宴会の最初のうちにとっておきたいのがキャベツなど、ビタミンUを多く含む食品」だという。これらは果たして、どんな効能があるのだろうか?

「キャベツに含まれるビタミンU(キャベジン)は、胃の粘膜表層のムチンを増やす働きがあります。ムチンとは粘膜から分泌される粘液の主成分で、粘膜を保護したり、細菌の侵入を防御する役目を担っています。ムチンの層が厚くなると、粘膜保護効果が高まり、アルコールによる刺激から胃を守ってくれるわけです。わずかかもしれませんが、アルコールの吸収速度を遅らせてくれる効果もあるでしょう。ラットの実験では、ビタミンUの効果は食べてから1時間後くらいから現れるという結果が出ています」