アルコール代謝中は脂肪の燃焼が阻害される

浅部さんによると、大量のアルコール摂取が脂肪肝につながる理由は2つあるという。

「まず、アルコールは中性脂肪の材料になるんです。肝臓に運ばれたエタノールは、アルコール脱水素酵素(ADH1B)によってアセトアルデヒドになり、次にアルデヒド脱水素酵素によって酢酸となります。その後アセチルCoAを経て、最終的にエネルギーを生むとともに脂肪酸を生成します。この脂肪酸こそが中性脂肪のもととなります。

もう一つの理由は、アルコールが肝臓で代謝されている間は脂肪の燃焼が阻害されるからです。普段、私たちの体は脂肪酸を「βベータ酸化」によって代謝しています。β酸化とは脂肪酸を酸化して、最終的に細胞が必要とするエネルギー源を生成するプロセスのことです。しかし、アルコールが肝臓で代謝されている間はβ酸化が抑制されてしまうため、脂肪が燃焼されにくくなり、代謝されない過剰な脂肪酸は肝臓に蓄積されやすくなります。そのためお酒好きの方は脂肪肝になりやすいのです」

なるほど、「大量飲酒は脂肪肝に向かって一直線」というわけだ。

休肝日よりもアルコールの総量が重要

「1日の純アルコール摂取量が60グラム(日本酒にして3合)を超えている場合、アルコール性脂肪肝であることがほとんどです。アルコールのとりすぎが脂肪肝につながることは、教科書にも載るくらい、医療の分野では常識中の常識です」

私はそんな常識を知らなかった……。

アルコール性脂肪肝の場合、原因は酒と分かっているのだから、手っ取り早く休肝日を取ればいいと思うのだが、「休肝日よりもアルコールの総量を減らすことが重要」だという。

「適量は純アルコールに換算して週に150グラム程度。休肝日を取ることも有効ではありますが、休肝日明けにどか飲みしてしまっては何の意味もありません。脂肪肝を改善したいなら、休肝日よりも“量を守ること”に注力するといいでしょう」