『スペア』の印税前払いは約27億円

米国から英国貴族に嫁いだジュリー・モンタギュー子爵夫人も、彼女が王室に嫌われた原因は人種差別からではなく、英米の文化や慣習が衝突した結果だとTVインタビューで語っている。

「メーガンが王室をネタに大儲けをもくろみハリーを操っている」という非難は、英国内では絶えない。世論調査会社YouGovによると、発売日周辺での英国における調査からは、「この本の出版動機は『お金のため』だろう」という答えが全体の41%を占めている。しかし米国では、金銭的な成功を目指すことになんの罪悪感もないどころか、そんな野望は尊敬される。

だから、ハリーとの婚姻でロイヤルファミリーの一員となったことを、アメリカ人メーガンが新たな収入源として捉えたとしても不思議ではない。結婚後初めての豪州外遊中に「これで私には一銭も報酬が支払われないなんて、信じられないわ!」と嘆いているのを複数の人が耳にしている。ハリーが独身時代に創設した、戦傷を負った元軍人たちが競う慈善スポーツ大会「インヴィクタス」に対しても「なぜ収益化を目指さないの?」と詰問したらしい。

確かにメーガンはやり手だ。女優活動の傍らファッションブログを立ち上げ、デザイナーブランド各社との契約を得ていた。そしてハリーと婚約するなり、映像会社をはじめいくつもの会社や財団を設立し、2021年には、アメリカの著名な司会者オプラ・ウィンフリーとのインタビュー放映で最初の爆弾を王室に落とした。ネットフリックスとは1億ドルの番組制作契約を結び、『スペア』の出版にあたっては2000万ドル(約27億円)もの印税前払いを得ているらしい。

2人を揶揄したアニメに大喝采

本当にメディアの詮索から無縁の生活を望むなら、サセックス公爵家の称号を返上し、単に「元セレブなファミリー」として暮らすという選択肢もある。だが、夫妻にそんな素振りは今のところ見られない。『スペア』の著者名をわざわざ「ハリー王子」としているように、プリンスの肩書も固持したいようだ。出版後は、さかんにテレビに出演したり雑誌の表紙を飾ったりと、あれほど嫌っていたメディアをPRに活用している。さらに、テレグラフ紙とのインタビューでは「もう1冊本が書けるほどネタはまだある」と自慢した。そういえば妻の方も、昨年の米TVとのインタビューで「英国にいた間ずっと日記をつけていたのよ。なんでも話せるわ」と、ほとんど脅しともとれるコメントを発している。

2月には米風刺アニメ番組「サウスパーク」がこんな2人を徹底的に揶揄やゆした。「間抜け王子とそのバカ妻」が、「プライバシーが欲しい」「私たちに注目しないで」と世界中のTV番組を回って訴える、というエピソードは英国でも大いに話題になっている。主要な新聞のウェブサイトにあるコメント欄は「よくぞやってくれた!」といった「歓声」でにぎわい、コスモポリタン誌オンライン版では「傑作!」「二人を壊滅させた」などのコメントをSNSから紹介していた。