周囲の人の方が合わせてあげる

ここで強調しておきたいのは、ASDの人に、「努力して一般の人たちの考え方にあなたが合わせなさい」と求めることには、無理があるということです。彼らは、その理解が困難な障害を負っているからです。

しかし、障害のない一般の人たちに、「ASDの人の考え方を理解して、あなたのほうが合わせてあげてください」と求めることは不可能ではない、ということはできないものでしょうか。

加藤進昌『ここは、日本でいちばん患者が訪れる 大人の発達障害診療科』(プレジデント社)

職場で、ちょっと変わった人、ちょっと困ったなと思われる人が現れたときに、その人に多数派のやり方に合わせるように強要するのではなく、多数派の人たちが彼らの思いに歩み寄るほうがうまくいくということを理解しておいてほしいと思います。

発達障害に対してネガティブなイメージをもっている人もいるかもしれませんが、発達障害のある人は苦手な分野がある一方で、他人よりもすぐれた能力や得意分野があることも特徴のひとつです。

「発達障害があるから社会で生きていけない」というようなことはありません。家族には、本人の長所やすぐれた部分に着目し、苦手なところには目をつぶるくらいの気持ちで接してほしいと思います。

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