「メタボ健診」が強制されているのは日本だけ
A. 腹囲を測れば、生活習慣病予防になって、医療費抑制につながるという考えは、かなりユニークです。一医系技官の思い付きで始められました。
メタボ健診という名称は海外では存在しないのではないでしょうか。韓国が同じようなことをしていますが、法的拘束力をもって行っているのは日本だけでしょう。
加齢によって一般的に、血圧、コレステロール等の脂質は上がってきます。これによって血管系のリスクが高まるのは明らか。これはアメリカのHOPE3という大規模な治験で明らかにされて、スタチン系のコレステロール治療薬がリスクを低くすることも明らかになっています。イギリスでは家庭で血圧を測って、150/95mg以上になると降圧剤を飲ませるのが原則になっており、80歳未満では135/85mgになるまで、血圧を下げることが目標になっています。
血圧のコントロールができない場合はフローにより、違う薬に移ります。また、イギリスでは、高脂血症の薬であるスタチンを、ドラッグストアで医師の処方なしに買うことができます。アメリカでは一定以上の年齢の人にアスピリン・降圧薬・脂質低下薬の合剤のポリピルを配ることが検討されています。それを飲んでもやっぱり治療が難しい人だけ医療機関を受診するという構想です。
繰り返しますが、健診(メタボ健診)や特定保健指導が、生活習慣改善につながり医療費抑制につながるかは、今のところ不明です。おそらく大した効果はないと、考えます。
英国国立医療技術評価機構(NICE)のようなフロー(図表2)をつくって、医療過疎地でも高血圧などの治療ができれば、医療費削減につながるのではと私は思います。