すごく忙しい→もう20日も休みが取れていない

たとえば、こんな「素材」。

・従業員満足度が97%にも達している
・100人全員が「彼はいい人だ」と言った
・もう20年も優良取引先として連続表彰されている
・他の仕事の2倍の給料がもらえる
・従業員30万人を超えている
・有名な経済評論家が「これからの成長株だ」と語っていた
・コンサルティング会社の注目の会社で1位になった
・もう20日も休みが取れていない
・成功確率は10%もない、と研究員に言われた

いい、すごい、と「素材」と比較して、どうでしょう。どちらが読み手に伝わるでしょうか。形容詞を使うのではなく、「事実」「数字」「エピソード(コメント・感想)」を使ったほうが、間違いなく説得力があるのです。

いい、すごい、と書きたくなったら、「事実」「数字」「エピソード(コメント・感想)」に目を向けてみることです。そして、その「素材」こそを書くことです。

たしかに形容詞によって、情景をうまく描写する文豪もいました。

しかし、それができるのは、才能を持った特別な人たちだと私は思っています。凡人には同じことはできません。

しかも、あれは物語領域の話。ビジネスの領域とは違う。そんなことをする必要はないし、誰もビジネスの文章では求めていないのです。

小学生の作文はなぜ幼稚なのか

形容詞を使わない、と意識することです。そうすれば、自然に「素材」に目が向きます。なんとか、いい形容詞をひねり出そう、見つけようという時間も必要なくなります。

そして、形容詞を使うよりもはるかに、読み手に伝えたいことを伝えられるようになるのです。

同時に形容詞の危うさは、文章を幼稚にしてしまうことにあります。

小学生の子どもたちの作文で、こんな典型例があるのではないでしょうか。

「今日は楽しかった」
「今日はおもしろかった」
「今日は気持ちよかった」

幼稚な文の元凶は、形容詞にあります。「楽しい」「おもしろい」「気持ちいい」。これも「いい」「すごい」と同じように、わかったようで、わからない言葉だからです。

よくわからない言葉は、文章を幼稚にしかねないのです(つまり、「いい」「すごい」が連発されている文章は、幼稚な文章になってしまうということでもあります)。

写真=iStock.com/Juanmonino
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