文章を上達させるには「質問」が効果的

文章を書く仕事をしているので、ときどき「子どもの作文を上手にする方法はありますか?」などと聞かれることがあるのですが、そのときには、こんなアドバイスをしています。

「お子さんに質問をしてあげてください」と。

たとえば、「今日は楽しかった」と書こうとしていたら、「何が楽しかったの?」と聞いてあげるのです。

そうすると、「今日、外でお弁当を食べていたら、太郎くんのオニギリが芝生の上をコロコロと転がって落ちていったんだよ。2人で大笑いして、僕のオニギリを半分分けてあげた」なんて言葉が返ってきたりする。

まさに「事実」「数字」「エピソード(コメント・感想)」です。これをそのまま作文に書けばいいのです。

「おもしろかった」も「気持ちよかった」も、必ず子どもたちにこう思わせた「事実」「数字」「エピソード」があるはずなのです。それを引き出してあげて、書けばいい。

そうすると、子どもの作文を読む先生は、「ああ、楽しかったのね」「おもしろかったのね」「気持ちよかったのね」となる。

形容詞は「読み手」の感想である

実は形容詞というのは、読み手が「ほー、そうだったのか」と思う感想なのだと私は思っています。

「楽しい」も「すごい」も「寒い」もそう。それを書き手がそのまま形容詞で書いてしまったら、興ざめではないでしょうか。

上阪徹『文章がすぐにうまく書ける技術』(日本実業出版社)
上阪徹『文章がすぐにうまく書ける技術』(日本実業出版社)

興ざめなことをするから、文章が幼稚になってしまうわけです。

そう感じるだけの、「事実」「数字」「エピソード(コメント・感想)」という「素材」こそを書かなければいけなかったのです。そうすることで、「読み手」は、「ああ、楽しかったんだな」「すごい会社なんだな」「寒かったんだな」ということがわかるわけです。

小学生はもちろん、作文の苦手な中学生や高校生、大学生にも「事実」「数字」「エピソード(コメント・感想)」の大切さを教えてあげるといいと思います。

形容する言葉を見つけなくていいんだ、「素材」を書けばいいんだという気づきは、文章のハードルを一気に下げるはずです。

そして同時に、文章が見違えるように変わっていくと思います。「素材」がしっかり書かれた、伝わる文章になっていくのです。

【関連記事】
「ああ、それ、わかる」と言ったら一発アウト…一流の人が相手に同調するときに使う絶妙な"共感フレーズ"
まったく悪気がないのに相手を激怒させてしまう…そんな人が無意識に使っている「厄介な否定語」とは
「了解しました」は×、「承知です」は△…上司から急ぎの仕事を頼まれたときに部下が使うべき返信フレーズ
「もう一度おっしゃっていただけますか」ではダメ…相手の声が聞き取れなかった時に使うべき正しい日本語
仕事ができる人は知っている…「よろしくお願いします」より効果的なメールの締めのフレーズ