尊敬語と謙譲語はなにが違うのか

ビジネスパーソンにとって、正しい敬語は、周囲との人間関係を円滑に築くための基本です。敬語を使いこなすと、「お互いに気持ちよく交流できる」というメリットがあります。

敬語の役割
・自分と相手の関係性を明確にする(相手の立場を尊重する)。
・良好な人間関係を築く。
・書き手(話し手)の品位を保つ。
・相手の信頼を得る(好印象を与える)。

敬語は「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つに分類できます(文化庁の「敬語の指針」では5分類ですが、本書ではもっとも一般的な3つの敬語表現を紹介します)。

■尊敬語……「相手」の動作に対して使う。相手を持ち上げる。
・元の言葉に「お(ご)~になる」「~される」「お~くださる」をつける。
例:「ご利用になる(ご利用くださる)」「書かれる」「お送りくださる」
・元の言葉を別の言葉に置き換える。
例:「(相手が)ご覧になる」「(相手が)いらっしゃる」「(相手が)おっしゃる」

■謙譲語……「自分」の状態、動作に対して使う。自分の立場を低くする。
・元の言葉に「お(ご)~する(いたす)」「お(ご)~いただく」を付ける。
例:「お持ちする」「お届けする」「ご相談させていただく」
・元の言葉を別の言葉に置き換える。
例:「(自分が)拝見する」「(自分が)うかがう」「(自分が)申し上げる」

尊敬語は相手の動作に、謙譲語は自分の動作に使う

■丁寧語……語尾に「です」「ます」「ございます」をつけて、丁寧に表現する。立場の上下に関係なく使える。
例:「伝えます」「資料がございます」

敬語の位置関係(出所=『社会人になったらすぐに読む文章術の本』)

例文「×」は、相手に対して謙譲語を使った間違い例です。謙譲語は、自分の行動を相手よりも下の立場として表現します。

×「詳細は担当者にうかがってください」
○「詳細は担当者にお聞きになってください」

×「弊社に参られた際に、ご説明します」
○「弊社にお見えになった際に、ご説明します」

×「資料を拝受してください」
○「資料をお受け取りください」

×「パンフレットは拝見されましたか」
○「パンフレットはご覧になりましたか」

×「Aさんにはもうお目にかかりましたか」
○「Aさんにはもう会われましたか」

×「お菓子をどうぞいただいてください」
○「お菓子をどうぞ召し上がってください」