タンス預金をあぶり出す「新紙幣発行」

また、2024年の上半期をメドとして行われる「新紙幣発行」も、財産税課税のための準備です。旧紙幣(福沢諭吉翁たち)をつかえなくすることによって、タンス預金をあぶり出すのです。

たとえば、2024年の4~6月を交換時期と定めて、その間に旧紙幣をいったん、すべて銀行預金に入金させます。そうしないと、新紙幣と交換できないようにするのです。こうすることで、各個人の銀行預金にタンス預金が全額入金されます。それを課税対象の預貯金額として把握するのです。

「インボイス制度」導入の真の狙いは消費税の増税

さらには、消費税の課税実務において、「インボイス方式」が採用されることが決まりましたね。これは「消費税の税率を多段階税率にするための準備」です。たとえば、贅沢品に対する消費税率を20%とか25%にするわけです。

消費税の税率を3段階以上にするには、課税実務上、インボイス方式を採用することが必須なのです。国税庁が今になって、「インボイス方式を採用する」と言い出したのは、それが目的であることは明白です。そうすることで、消費税の総税収を引き上げようと目論もくろんでいるとしか考えられません。

榊原正幸『誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話』(PHPビジネス新書)

贅沢品だけではありません。現在10%の標準税率も、どさくさ紛れに15%にするつもりでしょう。一方、それに併せて、生活必需品に対する消費税の税率は0%にするでしょう。これは、消費税の増税に関して大多数の国民の反感を買わないようにするための「隠れ蓑」です。そうすることによって、「逆進性」という消費税の最大の欠点を緩和できるからです。

生活必需品の税率を0%にすることは必須です。しかし、標準税率を15%にしたり、最高税率を25%にしたりすることによって、消費税全体の課税額を増やそうとすることは明らかです。

なぜこんなに「被害妄想的なこと」を申し上げるかというと、国家の債務が破滅的な規模に膨らんでおり、さらにコロナ支援の美名の下に、滅茶苦茶なバラマキをやってしまったことで、国家財政は破綻の危機にあるからです。

ですから、これは決して「被害妄想的なこと」ではなく、現状を踏まえた「論理的な帰結」なのです。

関連記事
申し込み期限は2月末「マイナンバーカード」はそもそもなぜ何万ポイントもくれるのか
日本円の紙くず化は避けられない…「事実上の利上げ」の次に日銀を襲う「債務超過」という最悪の危機
銀行の預貯金は一刻も早く引き出したほうがいい…インフレ時代に真っ先にやるべき「マネーの常識」【2022下半期BEST5】
政府がインボイス導入に熱心なのは、消費税を引き上げるため…公認会計士が解説する「消費税の裏の歴史」
「相続税0円→3億円の追徴課税」でタワマン節税は終了…なぜ富裕層は巧妙な節税策に詳しいのか