老後のお金の不安は、どうすれば解消できるか。会計学博士の榊原正幸さんは「預金ではインフレに対抗できないので、いくらあっても老後の不安は払拭できない。退職後も資産を増やし続けられるように、なるべく早いうちに株式投資の運用能力を身につけておくべきだ」という――。

※本稿は、榊原正幸『誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

日本の通帳と杖
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老後資金の不安解消のために必要な能力

「老後の不安」において、常に1位と2位を争っているのが「健康の問題」と「お金の問題」です。ここでは「お金の問題」について簡潔に述べてみます。

お金の心配をしないためには、「資産を築く能力」が不可欠です。では、この「資産を築く能力」とは、いったいどんなものでしょうか。

一つはもちろん、「働く能力」です。定年などで本業を辞めたあとも、定年後再雇用や転職、独立起業、あるいは副業などで「イヤじゃない仕事をする」ことができれば、定年後も安定した収入が得られます。

しかし、定年後再雇用の賃金は、定年前より下がるのが普通ですし、起業もうまくいくとは限りません。また、「副業」による収入は十人十色で、月額5万円以下の人もいれば、100万円以上稼ぐ猛者もいます。月額5万円以下の人は、やはりそれだけでは心許ないですし、月額100万円以上稼ぐ猛者でも、身体を壊したりして働けなくなったあとのことも考えておかなければなりません。

そこで必須となるのが、株式投資による資産運用です。最近よく耳にするようになった「お金に働いてもらう」というやつです。

本当は40歳前後から株式投資を実践して、60歳になる頃には20年くらいの投資経験を積んでいてほしいところではありますが、どんな年齢でも、今から始めて遅いということはありません。

しかし、よく言われるように「投資経験がないのに、退職金を全額つかって投資」は絶対にダメです。最初は少額でいいのでコツコツ投資を繰り返し、運用能力を身につけていくのです。

この「運用能力」こそが、もう一つの「財産を築く能力」です。株式投資によって増えていく財産は、「お金」でもありますが、「経験値」でもあるのです。逆もまた真で、株式投資の経験を積んでいった証が、財産の金額なのです。