年に一度、「便秘」で苦しむことも

パンダの腸は、ライオンなどの肉食動物よりは少し長いけれど、ウシやウマなどの草食動物に比べるとかなり短いです。竹の繊維質な葉、固い茎から栄養を吸収しながら腸を守るために、内部には潤沢に粘液が分泌されます。

パンダのうんちは、噛みくだかれた葉や茎のかたまりがそのまま出てくる感じですが、まわりが腸粘液でコーティングされていっしょに排泄されます。

アドベンチャーワールドのパンダたちは、1年に1回あるかないかですが、粘液便といわれるうんちをします。これは、腸粘液だけがかたまって出てくるもので、ブヨブヨしたお餅みたいだったり、ゼリー状、あるいはスライム状で、ネバネバした感じだったり。色は透明または白みがかっている、あるいは、うんちがまじって黄土色をしていることもあります。

この粘液便を排泄する前、何も食べなくなって、とてもおなかが痛そうに苦しみます。これは、粘液だけがおなかの中にたまってしまうからです。

出産前後や成長期などで、食べる竹の量が足りないときに粘液便になりやすいようです。

粘液便を出すということは、竹を食べる量が少ない証拠なので、私たちはパンダがおいしい竹を常にたくさん食べられるように気をつけています。

1日に15キロもの竹を食べる

主食の竹は栄養価が高いとは言えません。おとなのオスで150キロほど、メスで100キロほどもある体を維持するためには、できるだけたくさん竹を食べる必要があります。

写真提供=アドベンチャーワールド
2020年11月に生まれた楓浜。若竹に興味津々の様子

アドベンチャーワールドでは竹のほかに「おやつ」として、リンゴやニンジン、動物用のビスケットも与えます。

おとなのパンダが1日に食べる竹の量は、うんちの量から換算すると15〜20キロ。また、用意された竹をすべて食べるのではなく、その中から好みに合う、それぞれが食べたい竹だけを選びます。

竹の種類によって、パンダが好む部位や好む時期が違います。また、タケノコが春〜夏に出る種類、秋に出る種類があり、タケノコの出る時期は葉よりも茎のほうに栄養があるので、茎をよく食べます。もちろん、タケノコも食べます。パンダたちにとっては大好物です。

私たちは旬によって竹を吟味して、実際に食べる量よりもかなり多めに与えています。そのようにして用意する量は1日に1頭あたり50〜70キロ。

現在、7頭いますので、大阪・岸和田から週に2回300キロずつ、京都からも週2回450〜600キロずつ、合計で1週間に4回、1.5トン以上の竹を新規に搬入します。