主な情報源は「公開情報」と「人的情報」
では、諜報員はどこから情報を集めるのだろう。大きくは、公開か非公開かに分かれる。
公開情報は、新聞、雑誌、テレビ、インターネットから集めることができる。公開情報のことを、オシントと言う。
非公開情報は、文字通り一般には隠された情報だ。国家や企業の秘密から、個人が持っている秘密スキルや情報、居酒屋の秘伝のタレまでさまざまである。
その非公開情報には、「人に接近して取る情報」であるヒューミントと、「技術的手段を駆使して取る情報」であるテキントがある。
テキントには通信傍受や偵察衛星などを使うものがあるが、一般ビジネスパーソンにはあまり関係がないので深く知る必要はない。
これらの情報発信元を情報源と言う。
単独で活動する諜報員は、公開情報(オシント)と人的情報(ヒューミント)が主な情報源である。
公開情報は、全体のインテリジェンスの90%以上を占めるとされている。諜報員は、まず公開情報を集めるということだ。
我が国の諜報員の最高峰と称される明石元二郎は、日露戦争時にロシアやスウェーデンで、ロシアに敵対する協力者を獲得して諜報活動を行なった。
そのとき、まずは公開情報によるロシアの事前分析を行なっているが、その綿密さには驚かされる。興味があれば、明石の書いた『落花流水』をおすすめする。
一般ビジネスパーソンも、オシントとヒューミントは活用できる。
現在では、さまざまな情報がインターネット上にあるので、心がけ次第でいくらでもオシントは集められる。
ただし、価値のある情報と価値が無い情報が入り混じっているし、誤情報やニセ情報が流されている。さらには、情報操作も行なわれているので注意が必要だ。