台湾統一に動くまでの猶予は1~2年
習近平総書記は、国民にコロナに対する集団免疫をつけさせる「放置政策」と並行して、王毅を通じ対外的に中国に有利な状況を作らせ、李家超に香港の「1国2制度」を完全に骨抜きにさせようとしている。
そして、コロナ抑制にメドがつき、2024年1月の台湾総統選挙の結果や同年11月のアメリカ大統領選挙の展望を分析しながら台湾統一に乗り出す、と筆者は見る。
そのため日本やアメリカからすれば、中国国内でコロナ感染が爆発し、習近平総書記が足踏みせざるを得ない状況は、ある意味チャンスだと言える。
この1~2年の間に、離島防衛をはじめサイバー戦や宇宙戦に備えた協力関係を強化し、有事に即応できる体制を作り上げられるからだ。日米が結束し防衛体制を構築できれば、それが「おいそれとは侵攻できない」と思わせる抑止力にもなる。
岸田外交は「合格点」を取ることができるか
岸田首相は2023年の年明け早々、欧米5カ国歴訪をスタートさせた。その最大の目的は、言うまでもなく、5月19日から21日までの日程で開催される地元・広島でのG7サミット(先進7カ国首脳会議)に向けた地ならしである。もっと言えば、中国、ロシア、北朝鮮の専制主義の軍事国家に対し、民主主義国家の結束を示すという狙いも込められている。
なかでも、1月13日に行われるアメリカ・バイデン大統領との日米首脳会談は極めて重要な意味を持つ。
日本政府は2022年の暮れ、「反撃能力」の保有を明記した「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の防衛3文書を改定し、防衛費も今後5年間で43兆円規模(来年度の防衛費に関する予算は過去最大の6兆8000億円)にまで増やすことを決定した。
これは、2022年5月、東京都内で行われた日米首脳会談で、岸田首相がバイデン大統領に約束した「相当額の防衛費増額」を忠実に実行したことを意味する。
岸田首相は自らの言葉でバイデン大統領に「約束を守り、安全保障政策を大幅に転換しましたよ」と説明し、その賛同を得て、日米の結束をアピールする共同文書を発表できれば「合格点」ということになる。