ワシントン・ポスト紙は、「第200独立機動ライフル旅団の血塗られた運命は、ウラジーミル・プーチンによる侵略計画の失敗を象徴している」と指摘する。

旅団に現在所属している兵士は同紙に対し、「部隊は崩壊状態だ」と語る。配備直後に渡されたのは、1941年製の塗装ヘルメットと、防弾板の入っていないベストだったという。訓練もなく、「お前はもう狙撃手だ」「さあ、これが機関銃だ」と武器を渡されるだけだ。

一連の失態を受け、軍事情報サイトのソフリプは、「ロシアの『エリート』旅団のひとつが、結局はさしてエリートでもなかったことを示す」結果になったと指摘している。

ウクライナ軍が昨年9月にハルキウをほぼ奪還すると、第200旅団は撤退を迫られた。旅団はルハンスクに配置転換となり、ハルキウ包囲網から完全に離脱した。ウクライナ当局者はワシントン・ポスト紙に対し、「その旅団には何も残っていない」「完全に一掃された」と語る。

精鋭と称賛された旅団も、ほかのロシア部隊と同じく、腐敗と装備品不足、そして士気の低下という風土病に蝕まれていたようだ。

ワシントン・ポスト紙は当局者による情報をもとに、侵攻までに蓄えておくべき物資が適切に管理されていなかったと指摘している。組織の腐敗から、備品の不正な消費や売却が日常的に行われており、戦時の食料や武器弾薬の不足につながったようだ。

司令官クラスから二等兵まで、不正行為は階級を問わず蔓延まんえんしている。同紙はまた、ある司令官に物資と燃料を抜き取って売却した疑いがかけられており、ほか中位以下の兵士らも爆発物を違法に販売したなどの疑いで告発されていると報じた。

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精鋭部隊を蝕むロシア軍の腐敗

目先のウクライナ侵攻を優先したプーチン氏だが、その思惑通りに事態が運んでいないことは明らかだ。部分動員令を出して以降、国民の不満の矛先となり始めたプーチン氏としては、ウクライナ情勢の早期決着を図りたいところだろう。

だが、形勢逆転を狙いあがこうとするほど、前線に人員を割かれ、核攻撃能力を備える潜水艦の母港・ペチェンガ港すら丸裸同然になる。

NATO加盟国であるノルウェーとの国境に近いペチェンガを無防備にしておくことはロシアにとって決して得策ではない。かといってほかに有効な施策も見当たらない。第200旅団の投入には、そんな苦しい状況が透けて見える。

第200旅団の敗走は、ウクライナ侵攻がいかに無理筋であるかを強調している。エリートとうたわれた旅団でさえ、急な動員と装備品不足によって大敗を喫した。慢性的な組織内部の腐敗は、豪傑たちの部隊をも内部から蝕んでいたようだ。

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