漫画業界の中心であり続ける「ジャンプ」

積極的な新人起用、「ジャンプだけで読める」という希少価値をつくるための漫画家との専属契約、作品同士を競わせて読者が読みたい漫画を載せる方針を徹底するアンケート至上主義。こうした取り組みを通じて、少年ジャンプはヒット作品を増やしながら人気を高めていき、1984年に連載開始した『ドラゴンボール』を旗頭にさらに躍進して、80年代・90年代のジャンプ黄金期を経て、現在に至るまで漫画業界の中心であり続けている。

漫画業界の王者とも言える「ジャンプ」を超えるために誕生した「ジャンプ+」。その最大の特徴は、1話完結の新作読み切り作品の圧倒的な多さにある。1話だけの読み切り作品は、その後に単行本化して販売することが難しく、短期的な売上を考えれば重視しにくい。そのため、他の多くの漫画雑誌やWeb・アプリサービスでは、読み切り作品を特別に重視する方針はとられていない。しかしジャンプ+では、サービス開始時から一貫して、この読み切り作品重視の方針を続けており、年間300作品以上、ほぼ毎日1作品の新作読み切りを配信している。これによって、毎日、新しい刺激となるフックを提供し続けているとことになる。

新人発掘で次の大ヒット作を育成する

ジャンプ+が読み切り作品を重視する大きな理由は、新たな才能を秘めた新人をいち早く発掘し、次の大ヒット作を育成することにある。そのために、ジャンプ+のサービス開始と同時に、「ジャンプでデビューできる漫画投稿サービス」として「ジャンプルーキー!」を立ち上げている。

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これは、オリジナルの漫画をいつでも投稿・公開できるサービスで、月平均2000人以上が約4000作品を投稿しており、そのすべてに目を通し、若手の編集者から優先的に気になる投稿者へ声をかけていいルールが設けられているという。「ジャンプルーキー!」での投稿、そこからジャンプ+での読み切り、そして連載へステップアップする道筋を設計することで、日本で1番、新人がトライアル&エラーできる場として活性化している。