現代消費者の「無関心」を乗り越えるには
前回は「型破り」というキーワードからマーケティングの裏側を見てきたが(“激辛”は必ずクレームがつく…スーパーから取り扱い拒否された「カラムーチョ」の意外なヒット要因)、今回は「無関心」について取り上げてみよう。
「無関心」は現代の消費者の特徴の1つだ。様々な物事に対する関心が無く、興味が薄く、趣味を持たない人が増えている。このことは、商品・サービスを作って広めようとする企業にとって、とても厄介な問題になっている。どんなに良い商品・サービスを作っても、消費者に「面白い!」「新しい!」と好意的な関心を持ってもらえなければ、届かずに終わってしまうからだ。「試しに買ってみる、使ってみる」というファーストステップを実現できなければ、ビジネスとして普及することはできない。そのため、無関心な消費者に対して、「気付かせ、関心を惹くためのフック」が極めて重要になる。
無関心な相手を振り向かせる仕掛けを考え、常識や定番を覆すような新しい刺激となるフックを提供して、関心を惹きつける。ただ、その新しい刺激も、すぐに慣れられてしまってフックとしての効果を発揮できなくなりやすい。だから企業には、新しい刺激となるフックの提供と更新を実行し続けることが求められている。この「無関心な相手を振り向かせるフック」で成功を収めている事例として、少年ジャンプ+、THE FIRST TAKE、TikTokの3つを紹介していこう。
2200万DLを突破した「少年ジャンプ+」
「少年ジャンプ+」は、集英社が「週刊少年ジャンプを超える」と目標を掲げて2014年9月からはじめたWeb・アプリ漫画サービスだ。サービス開始から8年で、アニメ化して大ヒット中の『SPY×FAMILY』や漫画賞を受賞して人気を集める『怪獣8号』『ダンダダン』など数多くのヒット作品を生み出し、アプリは2200万ダウンロードを突破、週間アクティブユーザー数はWebとアプリを合わせて600万超の人気サービスへ成長を遂げている。
少し歴史をさかのぼると、もともと『少年ジャンプ』は、1959年に創刊されて絶大な人気を博していた『少年マガジン』と『少年サンデー』の二強がいたところに、後発参入する形で1968年に創刊された。少年ジャンプは、メインターゲットである小学5・6年生へ「1番大切に思うこと」をリサーチして、そこで出てきた「友情・努力・勝利」をコンセプトにした漫画雑誌として作られた。