デジタル端末を使ったチームビルディングをしていた

先にも触れたが、今年度は勿来工に分が悪かった。1年前の新人戦でも力の差を見せつけられて負けていた。ただ、その差を埋め、乗り越えるべく、チームは一丸となって練習に励んでいた。

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磐城が取り入れたのが、経済産業省「未来の教室」事業のもとでSteam Sports Laboratory(以下ラボ)が開発した「チームビルディング」プログラムだった。PCやタブレット、スマホといったデジタル端末を使いながらプレーの課題解決やチーム内の関係を向上させるスキルを学ぶものだ。

木田コーチが導入した経緯を説明する。

「うちは進学校で部員も少なく未経験者ばかりです。ここで効率よく強化するにはミーティングが大事だなと監督とも相談して始めてみました」

木田コーチは地方創成担当の市の職員。いわき市の教育委員会がプログラミングとタグラグビーを組み合わせてスティーム教育的に去年から導入していた流れもあった。

ラボの代表で早稲田大ラグビー部元主将の山羽教文さんが学校を訪問して数回、その後はオンラインで計10回の講義をした。

佐藤監督が懸念していたのは部員が忙しいことだった。

「月曜日は部活が休みなので講義をやろうとなったんですが、普段はその時間で塾に行く子がいたり、ケガの治療で通院する子もいる。でも、先々でスマホでできるんです。時代にマッチして効率よく時間が使えた」

実際に講義を受けた部員たちは課題を自ら設定し、練習や試合を振り返り組織をビルドアップさせた。

「組織力、関係力、人材力の3つがいいチームにしていくために大事だと。部員主体にやることの重要性をあらためて学びました」

木田主将の言葉に、自分たちは確かに成長したという自信がみなぎっていた。

佐藤監督はスティーム教育で部員が各自でしっかり考えるようになったと言う。

「練習をやっていて、知らず知らずのうちにうまくなってるのが一番いいなと思っています。仕事もそう。上司にあれやれこれやれと教えられた仕事って覚えないですよね。自分で考えたことは上手くなるし強くなる。つまりは自主性です」