嘆願のテンプレが本部から信者へ周知された可能性

一方、旧統一教会は崖っぷちの状況で反撃に出たとみています。

岸田首相と文部科学相に宛てた信者らの解散命令しないでほしいという嘆願書は約2万3000人分とのことです。決して少なくありませんが、これまでの教団の組織的な動きからみて、これら嘆願者の多くは、上からの指示で書かされた可能性が極めて高く、おそらく、その内容も「信教の自由を守れ」など、お決まりの文面であったに違いありません。これまでの動きからみて、教団の意向に沿う文章となるように、嘆願内容のテンプレなどが本部や教会から信者へ周知されているはずです。

それに対して、20万超筆の解散命令の請求を求める署名は、個々人が自主的に、そして能動的に書いたものです。10倍近い数の違い以上に、今回の教団による被害報道を受けて、心から解散をしてほしいという、当事者ではない一般の方の思いが詰まっていて重みは明らかに違います。

会見のなかで、鈴木エイトさんは言いました。

「20年間、統一教会の被害者の問題に携わってきました。この団体は宗教法人法において、宗教団体ではありますけれども、実体はカルト団体です。ここまで多くの社会問題を引き起こしてきたところを宗教法人として、優遇されている問題をずっとおかしいと思っていました」

政治と旧統一教会の問題を取り上げ続けてくるなか、世の中の人たちや、多くのマスコミがそれに目を向けてこなかった状況に忸怩たる思いを抱いてきた彼はこう続けました。

多田文明『信じる者は、ダマされる。』(清談社Publico)

「報道に関わる人や研究者、宗教社会学者、宗教学者や関係者の方がいます。本来なら、その一線を超えて、解散請求の呼びかけに加わったのは、それだけ、その職分の立場を超えても解散請求をすべきだという強い思いがあるからです。実際に解散するのは、数年かかると思いますが、その後も報道してほしい」

文化庁からの宗教法人の解散命令の請求は、最初の一歩に過ぎません。その後は法廷の場に移されて、宗教法人を解散するか、否かの司法判断が下されることになります。双方の主張を聞く必要もあり、その期間は年単位の長きにわたるでしょう。

安倍元首相が暗殺されて以降、旧統一教会への批判が広がっているにもかかわらず、教団は教団に反対する者を「サタン」とみなして心身を壊すような攻撃は今も続いています。高額献金や宗教2世への人権侵害の被害も続いています。

その状況を変えるためにも、一刻もはやく解散命令の請求という一歩が必要です。

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