宗教2世たちの勇気ある声は国を動かす
会見では、旧統一教会の2世だった冠木結心さん、井田雫さん(共に活動名)らが、署名への感謝の言葉とともに「長年、深刻な金銭的被害、家族崩壊、人生破壊が放置されてきた結果が被害を生み出した」と厳しく指摘して、教団の解散に向けて「自分たちのように苦しむ被害者が出ないように、(国が)毅然と対応してくれることを望む」と話しました。
さらに、会見では旧統一教会ではない宗教団体の2世として育った方々が声を上げました。ひとりは、自分自身も創価学会の2世として育ったという漫画家・菊池真理子さん。彼女は、これまで、旧統一教会の宗教2世6人から話を聞いて、漫画にしています。
「このような人権侵害をしているところを、善を教えるような(宗教)団体にしているのは、おかしいと思う。多くの(創価)学会員も統一教会の解散を見続けています」
そして、元エホバの証人の2世で、詩人でもあるiidabii(イーダビー)さんもこう発言しました。
「統一教会2世の過酷な体験、苦しみや絶望や怒りを聞くたびに、胸が苦しくなりました。自分も同じ宗教2世として呼びかけ人に加えさせていただきました。自分に関係ないといえば、スルーすることもできます。これが日本人の99%の人だと思います。でも、傍観者であることをやめてくれた人たちがいます。それが今回の署名をしてくれた20万人です」
旧統一教会とは異なる別な立ち位置から発する彼らの言葉は非常に重いものがあります。これまで弁護士たちが国(文化庁)にいくら訴えても、1ミリも動かせなかった解散命令請求という岩が、今、小川さゆりさんをはじめとする、多くの宗教2世の声もあり、動き始めようとしています。
国を動かす力を持つ署名を集めることに成功した背景には、カルト問題を長年取り上げてきたジャーナリスト藤倉喜郎さん、鈴木エイトさんの力は非常に大きいと感じています。
会見後に、藤倉さんは筆者にこう話しました。
「以前から1世信者の救出など、統一教会の問題に向き合ってきた人たちと、被害を受けて新たに声を上げてくれた2世たちの融合を心がけました」
この言葉こそ、今回の会見の肝です。宗教2世と、1世信者の救いに昔から関わってくれた方々の力がリンクしたからこそ、それに共鳴し20万もの署名が集まったのです。