子どもに大きな借金を背負わせないために

小学4年生くらいになると塾に通い始める子どもが増えてきます。親にそのつもりがなくても、子どもがお友だちと一緒の塾に通いたがるかもしれません。一般的に、月謝や夏期講習、冬期講習、教材費等を含めると年間約35万円程度がかかると言われます。

受験の年は個別指導等で通常の2倍の費用が掛かることもありますし、模擬試験などの費用もかかります。私立中学に進学した場合、1年間の学習費総額は約140万円となり、公立中学の約3倍の支出を覚悟しなくてはなりません(※6)

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次の大きなヤマは大学の費用です。私立大学の入学年にかかる費用は平均で約135万円、その後3年間は毎年約111万円がかかりますから、大学4年間の合計額は約470万円という高額の負担になります(※7)

「子どもに奨学金を借りさせる」という親もいますが、借り手の返済能力を審査する住宅ローンと異なり、返済能力が未知数の学生に高額の借金を背負わせることの危うさを認識したほうがよいと思います(※8)

十分な貯蓄がないまま教育費の大波にのみ込まれてしまうと、親はカツカツの貯蓄で60歳を迎え、子どもは大きな借金を背負って社会に出るということになりかねません。子どもが生まれたら、夫婦でライフステージと収入の予測を行い、データ等から実際の費用を見積もったうえで、子どもの教育方針を話し合うことが大切です。

親の思い通りになるとは限りませんので、予定外のことにも対応できるゆとりをもっておくことで、老後にツケを回さずにすみます。

※6 文部科学省『平成30年度子供の学習費調査
※7『私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果
※8 「軽い気持ちで借りてはいけない…利率は低いが延滞すると超ヤバい「奨学金」という借金の注意点

日常的に潜む「収入減」の地雷

「収入減」というと勤務先からの転籍出向やリストラなど、自分の意思とは無関係に降りかかってくるイメージですが、自ら招く収入減もあります。

共働き夫婦には「小1の壁」「小4の壁」など、いくつもの地雷があります。うっかりその地雷を踏んでしまうと、妻の離職もしくは非正規雇用への転換という収入減の道をたどります。