「写真撮影OK」が人気を広げていく

また、これは筆者自身がKポップにハマって初めて知ったことですが、日本ではふつう、ライブやイヴェントで演者を勝手に撮ってはいけないというルールがあります。

しかし、Kポップでは、基本的にOKということになっている。そして、撮影したものをインターネットにアップすることも容認されている。それらは、いわゆる「ファンカム」と呼ばれ、事務所が上げる公式の動画より先に、ネットにどんどんアップされていきます。

写真=iStock.com/Drazen Zigic
※写真はイメージです

これによって何が起きるのか。あるアイドルの同じステージのファンカムがネット上に溢れ、世界中の人がそれを見て、結果的にさらに人気が広がっていくという現象が起こる。これはジャニーズを筆頭に、肖像権で商売をしている日本とは、大きな違いです。日本でそんなことをすれば、即削除されて終わりです。

韓国は、そこをゆるめることで、接触商売のようなものに手を出さずして、ファンの取り込みに成功しているわけです。

「僕だけの」ではなく「みんなで盛り上げる」

韓国のこうしたカルチャーを目にするにつけ感じるのは、ビジネスとして開放的でいいな、ということです。

日本的な囲い込み型の、いわば「僕だけの」を錯覚させるような形で、並んで個別に握手をする機会を設けるのではなく、全部見えている状態で、アイドルと交流する機会を作る。オープンでフェアだから、ファンもものすごく盛り上がるし、このグループのために何でもやってあげよう! みたいな気持ちにもなる。

その結果、ニューヨークのBTSファンたちが協力し合って、他に何の助力もなしにNYのタイムズ・スクエアに彼らの巨大なポスターを貼る、というサプライズを成し遂げた有名なエピソードなどが生まれるわけです。

日本は、内閉型、内部独占型のビジネスモードなのです。シェアをベースにした考え方はまだない。BiSHを擁するWACKのように、ステージの撮影をOKにしている一部の例外はありますが、まだまだ少数派です。

では、そこで考え得るのは、日本の音楽ビジネスも韓国的なやり方に振っていったほうが、延命、あるいは復活の可能性があるのか? という問いです。