「知識とデータを得ることに血道を上げていました」

晋太郎さんは、まず世界的グルメガイド『ミシュラン』に掲載されたラーメン店を制覇した。東京には2022年現時点で、21のミシュラン掲載店がある。8年連続掲載の『ラーメン屋 トイ・ボックス』(荒川区東日暮里)、そして、7年連続掲載の『らぁめん小池』(世田谷区上北沢)、『麺尊 RAGE』(杉並区松庵)、6年連続掲載の『創作麺工房 鳴龍』(豊島区南大塚)、5年連続掲載の『Ramen にじゅうぶんのいち』(荒川区東尾久)、『Homemade Ramen 麦苗』(品川区南大井)、『SOBAHOUSE 金色不如帰』(新宿区新宿)などがある。

「初めて行ったのは、『ラーメン屋 トイ・ボックス』。『ああ、これが東京のラーメンなんだ。なんて芸術的なんだろう』と感動しました。そして、『もっと東京のラーメンを知りたい!』とミシュランガイドの掲載店を軸足に、あらゆる店に通いました。私のルールは有名店の全メニューを制覇することです」

SNSを通じて仲間もできた。互いに情報を交換する程度のゆるいつき合いだ。ラーメンの奧は深い。一時期は塩分濃度計を持って店を回ったこともあった。

「おいしいかどうか、好きかそうではないかではなく、知識とデータを得ることに血道を上げていました。好きな店が使っている製麺所の関連図も作っていました」

周りが当たり前のように毎日ラーメンを食べていて、地方にも食べ歩きに行く。

「私も当たり前のように食べ歩いていたら、気づけば貯金は0円になっており、それに比例するように体重は増えた。ラーメン好きには健啖家が多い。際限なく食べて飲んでを繰り返していた」

ラーメンのためだけに地方に行き、1日6杯を食べたこともある。

「さすがに今は自分の中で『ある程度は極めた』という自信があるので、前ほどは食べ歩いていません。でも経験をしたからこそ、新しいお店が出ると、写真を見て味を想像する。多くがその通りの味なのですが、稀に外れる店がある。そういうところに興味をそそられます」

晋太郎さんにとって、ラーメンは人生そのものなのかもしれない。

「結婚に失敗したから、ラーメンと結婚したんですよ」

有名店のオーナーと顔見知りになっていたり、有名なラーメンブロガーも晋太郎さんのことを知っている。

沢木文『沼にはまる人々』(ポプラ新書)

「ラーメンはライフワークです。でもそうならざるを得ない背景はあったと思う。同年代の友人には家族がいて妻も子供もいる。僕には何もありません。両親だって僕より兄を頼りにしている。結婚に失敗したから、ラーメンと結婚したんですよ。ラーメンは孤独な人に寄り添ってくれる。だって、1人で食べても恥ずかしくないじゃないですか」

ラーメン沼にはまって、失ったものは貯金と健康。得たものはラーメンの知識と生きがい。

「健康については、見ないようにしています。たぶん、このままでは糖尿病になる。でもいいんですよ。家族がいるわけでもないし、これから彼女ができる見込みもない」「本当にラーメンと結婚したのか?」と聞くと、しばらく迷ってから、「やっぱり取り消します」という。

「あさましいと言われるかもしれませんが、これから僕を好きになってくれる人が1人くらいいるんじゃないかと思うんです」

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