罰を与えることの10の不都合
罰を与えることによって起こるデメリットを、以下に10個挙げてみましょう。
2.罰を受けることによって子どもは自分のしたことの結果に向き合わず、責任感を覚えにくくなります。子どもは、罰で「償う」ことで、自分のしたことから解放されたと思うので、深く考えようとしないのです。
3.罰によって引き起こされた感情が脳内のストレスの回路を刺激し、自分のしたことについて考えてみることを妨げます。罰を受けた記憶は残りますが、子どもが記憶しているのはストレス、恐怖、怒りであって、なぜ罰を与えられたかは覚えていません。
4.罰は子どもに、警察が怖いということは教えるかもしれませんが、責任と自制は教えません。子どもの注意を、不公平感や怒り、恐怖といった親へのネガティブな感情に向けてしまうため、子どもが自分のしたことの結果を意識できなくなるのです。
5.罰は子どもに恥辱を与えるので、自分は人間としてダメなのではないかという感情が生まれます。そして、自分がしてしまったことを意識し、罪悪感を覚えるという健全なプロセスをブロックしてしまうのです。このような感情は何の進歩ももたらしません。
6.罰を与えることは親子の愛着や信頼関係を変質させ、子どもの愛情のタンクを「空」にします。結局、また新たに不都合なことをする状況を作ってしまうことになります。
7.罰によって生まれた恐怖心や恥は、知的能力や感情的・社会的生活に良い影響を与える脳の作用を抑制してしまいます。
8.親は、子どもが自分の手に負えないと感じて無力感を覚え、子どもに罰を与えます。子どもはそれを感じて親への信頼をなくすため、そのことで不安定になります。こうした不安感が逸脱した行動となって現れるのです。
9.罰を与えると、親は徐々に権威を失っていきます。1つには、子どもがイヤな気持ちから自分を守るため、「どうでもいいや」と思うようになるからであり、もう1つには、罰には効果がないため、長い間にさらに厳しくならざるを得ないからです。罰することで親の権威を示すことはできません。親の権威がないから罰するしかなくなるのです!
10.通常、親が激昂した時に罰を与えることが多いため、そもそも不合理で、過剰で、問題の行動とは関係がないことが多いのです。
欧米で一般的な「タイムアウト」もいい方法ではない
子どもを従わせようとして愛情を引っ込めるという手段が、しばしば使われます。これは短期間では効果的ですが、実際には良いことはありません。
アメリカやイギリスでは、5分間など時間を決めて、その場を離れさせることを、スポーツのようにタイムアウトと言います、フランスでは、子ども部屋などへ追いやります。
要は、しっかり反省できるように、1人にするということです。けれど13歳以下で、反省できる子はまずいません。だとすると、部屋に閉じ込められた子どもは何を考えるのでしょう?
子どもの心の声
わたしは1人ぼっちだし、力もない。ダメ人間だ……。パパはわたしを愛していないけれど、どうしてかわかんない……。どちらにしても、わたしはその仕返しをすることになるの。