作家の曽野綾子氏は「紙袋でいい。ピンクのリボンで結んでほしい」と月刊誌に書いた。
三國連太郎は、「散骨してほしい」と遺言したが、息子の佐藤浩市は、あえて意に逆らい、三國の故郷の伊豆の寺に納骨した。「最後くらい俺の好きなようにさせろ」という思いからだった。(『終活読本ソナエ2020年春号』より)。
死んだらしまい。思うようにはならない。
「勝手なことをするな」と叫べはしない。
石原慎太郎は希望通り、海に散骨してもらえた。石原家はTVを呼んでそれを見せた。佐藤家は、他人の目を避けた。ショー化したい個性と、秘めたい個性。考え方・やり方は人それぞれ、そこにいい悪いはない。あるのは故人への思いだけだ。
死者数145万人で火葬場は「1週間待ちはザラ」
2021年の死者数は約145万人で戦後最多。前年比で約6万人増えた。
一方の出生数は約84万人で戦後最少。約61万人の人口減である。中堅都市がひとつ、消えたことになる。これから毎年こうした状況が続くだろう。
これからも死者は増え続けるから、火葬場はますます混雑する。
「これで安心して死ねるから」は、元東大教授・上野千鶴子氏の10年以上前の終活本の帯の言葉だが、時代は激変してしまった。安心して死ぬのはもう無理だ。
現に火葬場が混雑し、すぐ焼いてはくれなくなっている。
数年前、葬儀業者が火葬の順番に便宜を図ってもらう目的で現場職員に現金を渡していたことが発覚した。業者はワイロを葬儀費用に計上していた。
現在も火葬場が「1週間待ちはザラ」だという。その際、遺体は冷房設備の整ったカプセルホテルで待機するそうだ。
遺体はドライアイスで冷却するが、その費用は1日あたり6000円という。
遺体は1ミリも動かないのに、生きている人間よりも高い料金が必要だ。