直葬費用はピンキリで、下は6~7万円、上は25~35万円と大変な差がある。

価格は電話で問い合わせて、安いところに決めればいい。「安い=悪い」は直葬には当てはまらない。やることはシンプルだから、サービスに差はない。

私が葬儀に無関心なのは、「死んだら終わり」と思っているからだ。

本当に大切なのは、死後のことより、生きている間のことだ。死ねば「ハイ、それまでヨ」の世界になる。

であれば、「いちばん安くて、迷惑をかけない」直葬が最善のチョイスではないか。

葬儀をしてもしなくてもこの世から卒業できる

言うまでもないが、葬儀の盛大さと死者を悼むことは、一切の関係がない。

ラジオで俳優の森繁久彌が、戦中の満州で死者を送ったときの話をした。当時、森繁は30歳前後だったという。

「何もなかった。石ころしかなかった」と、老人になった彼は話した。それでも、死者を痛切に悼む心が真っすぐ伝わった。

一般的な葬儀では、僧侶に枕経をあげてもらったあと、戒名(浄土真宗では法名)をつけてもらう。

中町敏矢『月14万円の年金で夫婦が生活している術』(ぱる出版)
中町敏矢『月14万円の年金で夫婦が生活している術』(ぱる出版)

だが、無宗教ならば必要ない。白洲次郎や石原慎太郎も戒名がない。

天国、地獄、極楽は、人間が空想で創造した場所だ。

私は死ねば「無」だと思っている。神も仏も信じていない者には、極楽や天国があるはずもない。

もしあるなら、この地上にしかない。

卒業式に出ても出なくても、学校は卒業できる。

葬式も同じだ。してもしなくても、人はこの世から卒業し、灰になる。

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