むしろ早めに休むほうが経済活動を止めずにすむ

何も私は、無症状な元気な人まで社会経済活動を制限せよと言っているわけではない。元気な無症状の病原体保有者が動き回ってバンバン感染を広げているとの意見にもくみしない。むしろまったくの無症状の元気な人で、家族や職場にカゼ症状の人がいるといった人でなければ、マスクを適切に着用した上で旅行や飲食、娯楽をコロナ禍以前と同様に楽しんでも構わないと考えているくらいだ。

それより何より有症状者、いかに軽微であっても発熱していなくても、ただのカゼ気味という人であっても、これらの有症状者を検査の有無、陰性陽性かかわらず徹底的に休ませて、人に接触させないという意識と行動こそが、感染拡大抑止そして社会経済活動を停滞させないためには最も重要だと考えている。

「新型コロナはカゼと同じ」とすることなく、しっかりと休ませることは、後遺症の発生や長期化防止にも重要だ。long COVIDを数多く診療しているヒラハタクリニックの平畑光一医師によれば、後遺症による“準ねたきり”を防ぐためには、新型コロナ発症後の2カ月間が非常に重要であり、感染したら2カ月間は安静にするよう訴えている。

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「新型コロナはカゼと同じ」になるのはいつか?

当然のことながら、働き盛りの人が感染を契機に寝たきりになってしまえば、その人自身にとっては言うに及ばず、社会にとっても多大なる損失だ。後遺症に移行させないために、ゆっくり休ませる、これも社会経済活動を停滞させないために非常に意義のあることであろう。

実際に感染したことのない人はもちろん、感染してもごくごく軽症で完治し後遺症もなく、その後の社会活動にまったく支障が生じなかった人、そして医師であっても新型コロナ感染者の診療はもとより、従来の「カゼ」診療の経験が過少な人から見れば、「新型コロナはカゼ」に見えるかもしれないが、感染して重症化したり、「治った」とされた後も感染前までは一切なかったつらい症状に悩まされ、社会復帰が困難なばかりか、周囲からは仮病扱いされるという苦境に立たされていたりする人にとっては、「新型コロナはカゼ」では断じてないのだ。

では、「新型コロナはカゼと同じ」と言えるようになるのはいつだろうか。よく「インフルエンザに使うタミフルのような薬が出れば解決できる」という人がいるが、残念ながら私はそうは思わない。なぜならタミフルは、重症化リスクの低いインフルエンザ患者での発熱期間を1~2日程度短縮するものであって、特効薬とは言えないものだからだ。

新型コロナの特効薬とされるべきものは、タミフルのように外来で簡単に処方できるだけでは不十分で、早期に服用させることで感染性を急速に減弱させ、重症化と後遺症を阻止しうるものである必要がある。その意味で、このほど緊急承認されたゾコーバは、残念ながら現時点では特効薬とは言いがたい。