脂肪を燃焼する生活で健康になる

では、どうすればミトコンドリアの数を増やせるのでしょうか。ミトコンドリアは働きを活性化させる生活を送っていると、数も増えます。しかも、働きのよいミトコンドリアは、エネルギーの産生力も強いのです。

反対に、ミトコンドリアの不活性化を招くような生活を送っている人は、数を減らしていきます。そうなると、エネルギーの産生力も落ちていきます。

ミトコンドリアで産生されたエネルギーは、生命活動や運動だけでなく、思考や記憶や集中力、忍耐力など、人のあらゆる活動を支えます。

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つまり、エネルギーの産生力とは、その人がよりよく生きていくためのパワーそのものです。実際、エネルギーの産生効率がよくなれば、体はきびきびと動きますし、何より思考がポジティブになって、毎日の当たり前の出来事を心から楽しめるようになります。記憶力もよくなります。

すると、50代から急激に増える「あれ、なんだったかな」という物忘れも減っていきます。

活力にあふれた毎日を送るために、ミトコンドリアを増やす生活を送りましょう。ミトコンドリアは酸素と一緒に脂肪を燃焼する小器官です。すなわち脂肪を燃焼する生活を送れば、ミトコンドリアが活性化され、数が増えてゆくのです。

長湯をすればするほど湯冷めする

風呂上がりには、水シャワーをしましょう。こういうと、「体が冷えてしまいませんか」「冷え性の私には、とてもむり」という人がいます。

しかし、体に水をかけるだけで、深部体温が下がってしまうならば、トカゲなどの変温動物と同じになってしまいます。人を含む哺乳類は恒温動物ですから、体に水をかければ、深部体温を上げようとします。ですから、冷え性の改善には、水シャワーがおすすめです。

体温調節中枢は、外側から体を温めれば温めるほど毛穴を開き、体表面積を広げて放熱します。体を温めると汗をかくのも、熱を放出するためです。汗が乾くと、気化熱として体の表面から熱が奪われます。そのようにして、深部体温が上昇しすぎないようにコントロールしているのです。

しかし、その放熱の働きが過剰になると体内の熱が奪われ、深部体温が0.1度単位というわずかな温度ではありますが、下がっていきます。私たちは恒温動物ですが、身体活動によっておおむね1度程度の変化は起こしています。深部体温が37度から36度まで下がれば、体は寒いと感じます。

つまり、一生懸命に体を温めれば温めるほど、深部体温が下がる方向に体温調節中枢が働きます。長湯をすると湯冷めをしやすいのは、体を温めすぎたことで、開いた毛穴がなかなか戻らず、過度に熱が放出されるからです。

ところが、風呂上がりに水シャワーをするとどうでしょうか。開ききっていた毛穴がキュッと締まります。それによって、熱が出ていくのを防げます。すると、深部体温を高く保てるのです。しかも、体に寒さ刺激を与えれば、ミトコンドリアが活性化します。

脂肪と酸素が燃焼してエネルギーの産生量が増え、深部体温が上がるのです。体表温を温めれば温めるほど、深部体温は低下します。反対に、体に寒さ刺激を与えれば、体の内側はぽかぽかと温まっていくのです。