盛り付けを壊さないよう、取り分けは丁寧に

ただし、料理人の考え方によっては、「淡白、濃い、淡白」と交互に盛り付けたり、これらの順にこだわることなく、美意識の感覚で盛り付ける場合もあります。いずれにしても「刺身は左手前から時計回りに食べる」と覚えておけば、恥ずかしい思いはしません。

複数人でいただく舟盛りの場合、主賓である招待された側から先に取ります。その場に置いて地位の高い人や年長者からという順番になることが多いですね。お造りと同様、左手前にある淡白なものから、お味の濃いものに移動していくのが基本的な流れです。

自分の分を取るときは、取り箸を使って、自分のお皿に2~3種類の刺身を置きます。盛り付けを壊さないように、丁寧に取り分けることを心がけます。万が一、盛り付けが崩れても慌てずにそのままにしておきましょう。自分が取るお刺身以外には触れないのがマナーです。

取り箸が用意されていない時は、お店の人に取り箸を持ってきてもらいましょう。お刺身を取るときは、隣のお刺身に触れないように意識しましょう。

「手皿」は上品! は実は勘違い

お刺身は可能な限り、一口で食べきることをおすすめします。大きなお刺身の場合は、途中で噛み切るしかありません。この場合は、噛み切ったお刺身をお皿に戻さないように。噛み切ったお刺身は、そのままお箸で持ち続けます。そして、一口目を食べ終えたら、すぐに二口目としてそれを口に入れ食べます。

お刺身を口に運ぶときは、醤油が垂れないように「手皿」をしたくなります。しかし、これは行わないように意識しましょう。お醤油が垂れてしまったら自分の手を汚すことになります。その手を清めるものがなければ、お店の人を呼んだり、席を立って清めたりしなければならなくなります。

お醤油が垂れるのが不安なら、その醤油が入っている小皿ごと持ち上げましょう。これなら垂れてしまっても、小皿で受け止めることができます。

茶道などで使う「懐紙」が手元にあれば、それを小皿代わりに使ってもいいでしょう。懐紙を常備携帯している人は、男女ともに準備力があり、かつ、奥ゆかしさを感じさせて、素敵です。