忍耐を身につける3つのルール
日々の生活で忍耐力を発揮するには、いくつかのコツがある。ここではとくに役立つ3つのルールを紹介したい。
① 「問題がある」状態を楽しむ
僕たちは何か問題があると、すぐに解決済みのチェックを入れたがる。急いで問題を解決していけば、いつか「何の問題もない状態」に到達できるのではないかという幻想を抱いているからだ。
その結果、目の前の具体的な問題だけでなく、「問題がある」こと自体が問題であると感じられ、二重に苦しまなくてはならない。でも、何ひとつ問題がない状態なんて、もちろん不可能だ。なぜなら、問題のない人生にはやるべきことがなく、意味がないからだ。
そもそも「問題」とは何か? 一般化して定義するなら、それは自分が取り組むべき何かだ。そして取り組むべきことが何もなくなったとしたら、人生はまったく味気ないものになるだろう。
「すべての問題を解決済みにする」という達成不可能な目標を諦めよう。そうすれば、人生とは一つひとつの問題に取り組み、それぞれに必要な時間をかけるプロセスであるという事実に気づくはずだ。
途中でやめることで忍耐の筋肉が鍛えられる
② 小さな行動を着実に繰り返す
心理学者ロバート・ボイスは、学者たちの執筆習慣を長年研究してきた。その結果、もっとも生産的で成功している人たちは、1日のうち執筆に割く時間が「少ない」という意外な事実が明らかになった。
ほんの少しの量を、毎日続けていたのだ。
彼らは成果を焦らない。たとえ1日の成果が少なくても、毎日コツコツ取り組んでいけば、長期的には大きな成果が出せると知っているからだ。1日の執筆時間は短ければ10分程度、長くても4時間を超えることはなく、週末はかならず休んでいた。
ボイスはこのやり方を博士課程の学生たちに教えようとしたが、みんなパニックに陥って最後まで話を聞こうともしなかった。締め切りは次々と迫ってくるのに、そんな悠長なことを言っていられない。とにかく早く論文を仕上げなくては、と。
その反応こそ、ボイスの主張を証明するものだった。学生たちは早く仕上げようと焦るあまり、適切なペース配分ができていなかったのだ。創造的な仕事には時間がかかるものだが、学生たちは実際よりも早く仕上げたいという欲求に駆られていた。
そして思い通りに進まない不快感から目を背けるために、ある日は書くのをサボり、ある日は焦って1日中ひたすら書きまくるという状態になっていた。
適切なペースをつかむためのコツは、1日に割り当てた時間が終わったら、すぐに手を止めて立ち上がることだ。
たとえエネルギーがあふれていて、もっとできると感じても、それ以上はやらない。あるプロジェクトに50分間取り組むと決めたなら、絶対に51分やってはいけない。もう少しだけやりたいという欲望は、ボイスに言わせれば、「終わらない状態への不満や、生産性が上がらないことへの焦り」を反映したものにほかならない。
途中で思いきってやめることで、忍耐の筋肉が鍛えられ、何度もプロジェクトに戻ってくることができる。そのほうが長期的に見れば、ずっと高い生産性を維持できるのだ。