人生を成功に導くには、どうすればいいのか。全米ベストセラー『限りある時間の使い方』(かんき出版)著者のオリバー・バークマン氏は「誰もが急いでいる社会では、急がずに時間をかけることのできる人が得をする。現代社会では忍耐や我慢という言葉の価値が変わりつつある」という――。

※本稿は、オリバー・バークマン著、高橋璃子訳『限りある時間の使い方』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

電話口で怒っているビジネスマン
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80歳まで「たった4000週間」という事実

突然だが、考えてみてほしい。

私たちの人生は、80歳くらいまで生きるとして、いったい何週間くらいあるだろうか?

答えは、たった4000週間だ。人間の寿命は、バカみたいに短い。

限られた人生の時間をうまく使うためには、まず「時間がある」という前提を疑い、忙しさへの依存を手放してスピード重視の生活を変えることが必要だ。

そうして、留まることで見えてくるものがある。

「忍耐」や「我慢」という言葉には、かなりネガティブな響きがある。

やりたくないことを我慢してやるのは単純に不愉快だし、何かに耐えるというのはあまりにも受動的な態度に思えるからだ。

たとえば夫が外で刺激的な生活をしているあいだ、家でじっと耐えるのが妻の美徳とされてきた。非白人は公民権を得るまでに何十年も我慢させられてきた。仕事ができても控えめで自己主張しない社員は、なかなか昇進できずに長い時間を耐えなくてはならなかった。

そういう場合、忍耐とは自分の無力さに甘んじる態度であり、いつか良い時代が来るのをじっと待つという受動的な生き方だったわけだ。でも社会が加速するにつれて、事情が変わった。

忍耐が強みになる場面が増えたのだ。

誰もが急いでいる社会では、急がずに時間をかけることのできる人が得をする。大事な仕事を成しとげることができるし、結果を未来に先送りすることなく、行動そのものに満足を感じることができる。