自分らしい生き方を見つけるには、どうすればいいか。英ガーディアン紙のオリバー・バークマン記者は「生活や仕事の中で、ちょっとした不快に耐えるのがいやで、楽なほうに逃げてはいけない。快適な衰退よりも不快な成長を目指したほうがいい」という――。

※本稿は、オリバー・バークマン著、高橋璃子訳『限りある時間の使い方』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

ベッドに入り、スマホを使用している女性
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時間を支配しようとするほど苦しめられる

時間を支配しようとする態度こそ、僕たちが時間に苦しめられる原因である。

いつか時間を手なずけたい、という願いを持つのは理解できる。時間が思い通りにならないのは誰だって不安なものだ。でも残念なことに、その願いが叶うことはけっしてない。

あまりにも限られた人生のなかで、あらゆる要求に対応し、すべての重要な計画を成しとげるなんて、どんなに頑張っても絶対に不可能だ。だから、人生は必然的に、厳しい選択の連続になる。

限られた時間を思い通りにコントロールできず、正確に予測することさえもできない僕たちは、この先もずっと未来への不安を抱えつづけるだろう。つねに不確かさを感じながら、何が起こるかわからない未来を無力に待ち受けるしかない。

人生を生きはじめるための3つの質問

もっと時間や人生について具体的に理解するために、次の3つの質問について考えてみてほしい。

すぐに答えが出なくてもかまわない。詩人リルケの有名な言葉を借りるなら、重要なのは「問いを生きる」ことだからだ。

真摯しんしに自分に問いかけるだけでもいい。そのときあなたは、すでに自分の置かれた現実に向き合い、限られた時間を精いっぱい生きはじめていることだろう。

<質問1>

生活や仕事のなかで、ちょっとした不快に耐えるのがいやで、楽なほうに逃げている部分はないか?

自分にとって重要なものごとに取り組むときには、不安がつきものだ。

目の前には厄介な現実が立ちはだかり、未来はどう転ぶかわからない。挑戦は失敗に終わるかもしれない。自分の才能のなさが露呈するかもしれない。恥をかき、気まずい会話をし、せっかくの期待を裏切ってしまう可能性も高い。誰かとの関係にコミットするなら、自分の心配だけでなく相手の心配まで降りかかってくる。どこまでも負け戦だ。