各時代を象徴する歌をAIで作る

さて、そのような分析を踏まえ、私たちは各年代を象徴する“時代の歌”をAIで作ってみる、という試みを行いました。

各年代のヒット曲に多く登場する「高頻度ワード」をそれぞれ5つ選定。亜細亜大学教授の堀玄さんが開発した作詞システムを活用し、それぞれの高頻度ワードを含めることを条件として各年代の歌詞を作成しました。

AIは高頻度ワード以外にも各年代の歌詞を学習しているので、言い回しや言葉のチョイスに時代の雰囲気が反映されています。

続いてAIによる作曲では東京大学名誉教授の嵯峨山茂樹さんが開発した自動作曲システム「ORPHEUS(オルフェウス)」を使用しました。ちなみにこのAI、Webで公開されており、誰でも利用することが可能です。歌詞が異なるとAIが作る旋律も当然異なるため、数十パターンの微妙に異なる歌詞を用意して、うまくマッチするよう調整をしていきました。

こうして出来上がったAI楽曲に、各年代を象徴する楽器の編成や音源の再現を人の手で編曲し、各年代に歌い手を変えてレコーディングを実施しました。

この部分は高木公知さんをはじめとする株式会社インビジの皆さんにご尽力頂いています。最終的な曲調の各年代らしさは、かなりこの編曲、演奏、歌唱のステップによるところも大きいですね。AIと人のコラボ、という点でも非常に面白い取り組みでした。

80年代の曲は明確に恋の歌

そんな工程を経て、ようやく完成したのが年代別ヒンドソング全5曲です。順番にご紹介すると、まず1980年代のヒンドソングは『夏恋リクエスト』。

80年代にジャンルとして確立されたJ-POPの曲調を反映しつつ、映像内のイラストの感じや、クリームソーダ、ユニコーンなどのアイコンも当時の流行を反映しています。

この時代の楽曲の特徴は、やはり明確に恋の歌であるということです。「男」と「女」という言葉がはっきり登場していたり、「瞳」「髪」などの体の部位表現が80年代は多いですね。