年間降雪量世界ベスト3は日本の市町村が独占している
このように積雪、降雪共に世界一の日本だが、世界でもっとも雪深い都市もまたわが国にある。アメリカの天気予報提供会社アキュウェザーの2016年の記事によれば、それは人口30万人の青森市で、その年間降雪量は8メートルにも達する。2位が札幌市、3位が富山市で、アメリカでもっとも雪の多いニューヨーク州シラキュースやカナダのケベックシティですら足元にも及ばない。
このように雪の量で世界を圧倒するわが国は、雪の降る面積でも他を寄せ付けない。積雪が50センチ以上ある日が年に100日以上あって、産業の発展が停滞し、住民の生活水準の向上が阻害されている「豪雪地帯」の面積は、日本の国土全体の半分を占めている。そこには全人口の16%に相当する2000万人がたくましく暮らしている。
1000台を超える車が立ち往生…雪害が深刻化する理由
豪雪地帯にこれだけの人が住んでいるのだから雪害が絶えないのも無理はないが、近年は豪雪による車の立ち往生のニュースもよく耳にするようになった。しかも1000台以上の車が数日間も八方ふさがりという深刻な事態も少なくない。近年の新聞記事で、振り返ってみよう。
立ち往生は16日午後発生。車内の人には飲料水やガソリンなどの支給が続けられたが、消防によると、新潟、群馬両県で、体調不良を訴えるなどした男女計5人が病院に搬送された。同社(東日本高速道路)や陸上自衛隊などは約700人態勢で除雪を急いだが、車と車の間に積もった雪を手作業で除いて1台ずつ車を出すしかなく、難航した。関越道上り線では、大型トラックが雪で動けなくなるなどし、16日午後6時ごろ、立ち往生が発生。最大時の17日午後1時時点では、上り線で1750台、下り線で350台の計2100台が巻き込まれた。下り線は18日朝までに解消された。(略)
記者会見した同社の小畠徹社長は「これだけの雪が短時間で降ると予測できなかった。事前に通行止めにするまでに思いが至らなかった」と述べ、判断が適切だったか今後検証するとした。
(2020年12月18日/時事通信)
「福井大雪1000台超立ち往生北陸道で一時陸自災害派遣」
日本海側を中心に降った大雪の影響で、福井県の北陸自動車道の上下線では9日午後以降、一時1000台を超える車の立ち往生が起きた。立ち往生は富山県の東海北陸自動車道でも発生。両県は陸上自衛隊に災害派遣を要請した。(略)
気象庁によると、福井市の9日(24時間)の降雪量は54センチを記録。9日に上下線の複数の場所でスリップ事故が発生し、一部区間が通行止めとなった。付近で渋滞が起き、停車中に路面に雪が降り積もるなどしたため、動けない車が出たという。
10日午前、陸上自衛隊の隊員や中日本高速道路の職員らが、車の周囲の雪をスコップで取り除いたり、食料や燃料などをドライバーに配布したりした。福井県によると、車内にいた4人が体調不良を訴えたという。
(2021年1月11日/読売新聞)
これらの立ち往生に共通することは、通行止めが遅れたこと、さらに記録的な大雪が降ったことである。実は、冬が暖かくなると“ドカ雪”が増える可能性がある。その理由は、雪が降るメカニズムに隠されている。