やっぱりあった「警・葬の癒着」

異状死扱いになった場合の費用は全額遺族負担という神奈川方式。こんな高額な費用を誰もが即金で支払えると思い込んでいる警察や行政は市民に甘えすぎていませんか? そして警察と葬儀社は、いったいどのような関係にあるのか……。

こんな不透明な支払いシステムがまかりとおっているのは、警察と嘱託医と葬儀社があうんの呼吸のもとに連携して、三者の利権構造ができあがっているのではないかと、ついうがった考えもしたくなるというものだ。

そうしたらやっぱりと言うべきか、神奈川県警大和警察署の警部補と葬儀社との“ズブズブな関係”が明るみに出て、2021年11月に警部補と葬儀社の担当が贈収賄罪で逮捕されるという報道が世間を騒がせた。

警察署で扱った遺体の搬送を、同僚の警察官の妻が経営する葬儀会社を使うようにと紹介し、そのたびに現金や商品券、合わせて200万円ほどを受け取っていたというニュースを聞き、「やっぱりね」とうなずきあった県民がどれほど多いかを、神奈川県警は肝に銘じていただきたい。

平野久美子『異状死』(小学館)

搬送車両が警察署に十分用意されていないことを理由に、異状死と判定されて検案が必要になった遺体の保管や搬送業務を葬儀社に丸投げしていたのは全国でも神奈川県警だけ。しかも葬儀社とのこうした関係が、どの署でも半ば慣例化されていたことが明らかになった。これでは“警察官の職務の公正に対する社会の信頼が相当程度害された”と裁判官が述べるのもあたりまえだ。

2022年3月15日に横浜地方裁判所で逮捕された警部補に執行猶予つきの有罪が確定したことで、県警は県議会で再発防止策に取り組む姿勢を表明。2022年度の一般会計予算に5000万円を計上して、今後数年かけて県下の全警察署に遺体搬送用の専用車両と遺体の冷蔵保管庫を整備するという。また、搬送業務を葬儀社にまかせることをやめて県警が自分たちで行うことも決まった。正常なシステムになるまで時間はかかるだろうが、市民の信頼を取り戻すこと、遺族の金銭面の負担が減ることを望むしかない。

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