「これは、従業員全員が守らなくてはならない法律なのです」

とシュルツ氏は言う。

「組織は、目的を従業員に明確に伝え続けなければならない。すでに300年前、経済学者アダム・スミスは『人間は、目的を知り、価値を理解してからでない限り動けない』と言っています。指示されても、納得しなければ人は行動しない。従業員教育では、まず哲学を共有し、そのうえでガイドラインを示していくことが重要なのです。カノンはお客様だけでなく、オーナー、従業員、社会に向けてのものです。社会の中の一員として、守っていくべきことを、カノンに示しています」

ブランドを金儲けのアイコンとみなす人がいる一方で、信頼の証やサービスに対する誇りととる人もいる。

最後にシュルツ氏は筆者に向かいこう語った。

「私にとって、ブランドとは、絶対に守られなければならない約束です。カノンを掲げ、私たちはサービスの新基準をつくり上げていきます」

(西川みこ=編集協力 ライヴ・アート=図版作成)