Q ロールモデルが見つからない
上村光弼●エンパワーリング代表取締役、メンタル&コミュニケーションコーチ。1962年、大阪府生まれ。大学卒業後、92年より日本メンタルヘルス協会にてカウンセリング・ゼミ講師を務める。著書は『一流の部下力』ほか多数。

上村氏回答 ポイントは2つある。まずは、一人の人間にすべてを求めないということである。仕事も抜群にできて、人間的にも神様のような人格者で、部下の面倒見もよくて……そんな人は滅多にいないと心得るべきだ。それを大前提として、他人の強みに目を向けることである。人に会ったら、「この人から、ひとつだけでも得られるものがあるとしたら、何だろう」と考えることだ。

優秀なマネジャー数人に、そういう能力をどうやって身につけたのかと聞いてみたことがある。驚くべきことに、彼らの答えはまったく同じものだった。それは「これまで出会ってきた良い上司と悪い上司、そのどちらの上司からも学んだ」ということだ。彼らはその両極の上司を注意深く観察することで、部下への言葉のかけ方、叱り方、話の引き出し方など、あるべき上司像を学んだのだ。

2つ目のポイントは、社内にこだわらず、社外にも目を向けよう、ということだ。世の中には立派な経営者、コンサルタントが山ほどいる。彼らは精力的に本を出したり、メディアで発言したりしているから、自分の気に入った人を選んで私淑すればよい。

また著書を読むだけでなく、その人が出る講演会やセミナー、シンポジウムに足を運んでみることをお勧めしたい。著者の肉声や、活字からは得られない生のオーラに接することは、「この人のようになりたい」というあなたの気持ちを何倍にも増幅させるはずだ。