「大人もメンタルをやられている」という自覚が必要

もちろん、大人たちがそういう子どもたちの状況に敏感になることは大切です。

しかし、その前提として、

「私たち大人もメンタルをやられているかもしれない」
「正しい判断ができなくなっているかもしれない」

という認識をまず持つことが肝心です。

さもないと、精神的に弱っている子どもに対して、「なんでもっとしっかりできないの!」と自分のイライラをぶつける結果となってしまいます。

同調査では、保護者の状態も公表していますが、中等度以上のうつ症状を自覚している保護者は29%で、高校生の30%とほぼ同じです。

保護者の悩みとして子どもや子育てのことが最も多く、次いで、自分の体や健康のこととなっています。3番目には、お金のこと、仕事のこと、自分の心・気持ちのことが並んでいます。

つまり、悩んでいる親たちはその原因がわが子にあると感じており、家庭においてある種の「煮詰まり」状態が生じていると言えます。

「親自身の安定」が一番大事

ここで、大切なことを確認しておきましょう。

小林弘幸『本番に強い子になる自律神経の整え方』(小学館)

子どもは悪くありません。親も悪くありません。

みんな頑張っているのです。

先の見えないコロナ禍では、大人も子どもも誰も彼も、不安な状況の中でたくさんの我慢を強いられてきました。本当に大変な状況が続いています。

まずは自分とわが子に、「お疲れさま」と言ってあげましょう。

子どもの自律神経の安定にとって、一番大事なのは親自身が安定していること。

それができてこそ、子どもたちがどんなことに苦しみ、どんな助けを求めているかについて、本当に有効な対処が可能となるのです。

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