試験や大会など「本番」で実力を発揮するには、なにが重要なのか。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「トップアスリートが成績を残せるのは、自律神経の整え方を知っているから。だから集中しつつリラックスした状態をつくれている。そのためには『肺活』や『腸活』が役に立つ」という――。
※本稿は、小林弘幸『本番に強い子になる自律神経の整え方』(小学館)の一部を再編集したものです。
普通の人と一流の人の違いは「自律神経」
私たち一般人は、自分の力の5〜7割くらいしか発揮できていません。
本来自分が持っている力をすべて発揮できれば、仕事でも勉強でもスポーツでも、もっといい成績を残せるはずです。
しかし、実力をすべて発揮できる人はそうそういません。
一方、「一流」と呼ばれる人たちは、自身のパフォーマンスを限りなく10割に近づけています。
トップアスリートが、「ボールが止まって見えた」とか、「相手の動きがスローに見えた」と言うことがあります。そんなときの彼らの自律神経は絶好調で、いわゆる「ゾーン」に入っています。
交感神経と副交感神経の働きが、同じように高く保たれているのが、自律神経にとっては理想の状態です。
交感神経によって集中力が高まりますが、交感神経ばかり強く働くと、緊張しすぎになってしまい、持てる実力を発揮できなくなります。
交感神経だけでなく、副交感神経も機能することで、適度な高揚感を保ちつつも、どこかリラックスした状態が維持できます。
その状態で「本番」に臨めるのが、一流の人なのです。
交感神経と副交感神経のバランスがいいと、血流も安定し、細胞のすみずみまで血液が送られます。その結果、脳の働きも活性化し、ケアレスミスが減ります。
免疫力もアップし、風邪などで体調を崩すこともなくなります。