「性的なコメントが多かった」「親とか見ていたら本当につらい」

以下に当時配信した記事を再録する。

9月に無観客で開催された陸上の日本学生対校選手権で、ライブ配信の応援メッセージ欄に出場選手に対する性的な意図の書き込みが相次ぎ、主催者による大会後の会議で問題として指摘されていたことが19日、関係者への取材で分かった。

新潟市のデンカビッグスワンスタジアムで行われた同大会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて無観客で実施。来場ができない家族やファン向けに3日間ともライブ配信をしたが、無観客によって視聴者が増加。出場選手は取材に「性的なコメントが多かった」「親とか見ていたら本当につらい」「知り合いに指摘され、被害に気がついた」と答えた。

日本学生陸上競技連合の障子恵総務委員長(当時)は「選手や関係者を侮辱する行為は大変遺憾。書き込みは担当者のチェックで対応しているが、視聴者が増加したことで対応しきれない事態となってしまったことを重く受け止めている」と話した。法律の専門家は「内容によっては、名誉毀損きそん罪や侮辱罪に該当する行為だ」と指摘。「発信者情報開示請求という法的制度があることを知らずに、安易な書き込みをしている者も多いのではないか」としている。

日本オリンピック委員会(JOC)は女性アスリートの性的な撮影被害や画像拡散の問題について、日本スポーツ協会や全国高等学校体育連盟(全国高体連)などと連携して対策に乗り出す。加盟する各競技団体から実態や意見を聞く方針で検討を進めている。(共同通信 20年10月19日配信)

1日に2~3件はSNSに卑猥なメッセージが届いている

女性アスリートの性的な撮影被害や画像拡散の問題は、トップ選手だけでなく学生スポーツ界にも広がる。交流サイト(SNS)を通じて卑劣な言葉が送られてきたり、加工した写真を性的な意図で流布されたりなど、嫌がらせの実態は深刻だ。日本オリンピック委員会は全国高等学校体育連盟などと連携して競技横断的な対策に乗り出すが、SNSの取り締まりには壁があり、法整備の課題も抱える。以下に当時配信した記事を再録する。

写真=iStock.com/PeopleImages
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▽いたちごっこ

「事実と反するうそなので、許せない。社会に出て就職した時に(検索されたら)困る」。大学の陸上部に所属する女子選手は、性交渉をしている他人の体に自分の顔を合成された動画が拡散された。ツイッター社に要請して消去される投稿はあったものの「私が何回削除要請しても違うアカウントでやられる。無くならない」と、いたちごっこの状況を訴える。

ツイッターやインスタグラムのDM(ダイレクトメッセージ)で、自分の体の一部がアップになった画像や、みだらな文言が直接届くことは日常茶飯事という。「1日2~3件は送られてくる」と選手。高校2年時から被害を受けていた別の陸上選手は「慣れるというよりかは見ないようにしている」と打ち明けた。害が及んでも相談できないのが実情だ。

「お母さんにも言いづらい。悲しむだろうし、親や先生に見られているのが嫌だ」と心境を語る。