「おはよう」に添えるだけで効果が上がる一言がある
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○ ○○さん、おはようございます
では、実際に心理的安全性をつくるための「言い換え」の例を紹介していきます。
1日の仕事の始まりは、挨拶から。多くの職場で当たり前に実践されていると思いますが、そこにひと工夫加えることで、心理的安全性を高めるシンプルな方法があります。
それが、「挨拶時に、相手の名前を添える」ことです。たったひと言、名前をつけ足すだけで「誰か来たからみんなに挨拶」ではなく、「他でもない自分に話しかけられている」と感じられ、チーム全員から自然と話が出やすくなります。
実際、上司からの「名前つきの言葉がけ」によって、「挨拶をきっかけに部下の側から発言や相談をされることが増えた」という多くの報告があります。
A「○○さん、おはようございます」
B「課長、おはようございます。そうだ、ちょっと聞いてくださいよ……」
挨拶だけではなく、会議などの場でも「誰か意見ある?」という投げかけの代わりに「○○さんは、どう思いますか?」と、部下の発言の「きっかけを促す言葉」として使うことも効果的でしょう。積み重ねていけば報告や相談が増え、トラブルの予防や早期発見、燃え広がる前の解決もしやすくなります。
挨拶は「若者から、目上にするもの」ではない
意外に思われるかもしれませんが、重要なのは挨拶を上司やリーダーから率先してすることです。もともと「挨拶」という言葉は禅の言葉「一挨一拶」に由来します。「挨」と「拶」にはどちらも「押す・迫る」という意味があり、師匠が弟子の修行の進み具合や状態を確認するための「問答」をすることを意味しています。
挨拶というと「目下や若者から、目上の人に挨拶する」というイメージがありますが、語源からすれば、上司・リーダーから、部下・メンバーの状態を知るために挨拶すること、そして相手の返事のトーンや反応を見て、状態を理解しようとすることが重要なんですね。目上の方から進んで挨拶できるチームこそ、「話しやすさ」が高いチームです。
皆さんも右も左もわからない新人や若手だった頃、先輩やベテランの方から「○○さん、おはよう!」とにこやかに声をかけられて、ホッとした経験はないでしょうか。もしなかったとしても、そうしてもらえていたらもっと早くチームの一員になれたのに、と思えるのではないでしょうか。
心理的安全性の4つの因子「話助挑新」のうち、土台となるのが「話しやすさ」因子です。その「話しやすさ」因子を高めるため、一番カンタンですぐに始められ、効果が大きいのが、ここで紹介した「名前をつけて挨拶」です。さっそく今日の会議や、明日の朝から、試してみましょう。