国内に加え、日本生命は海外ネットワークの構築にも積極的だ。2009年の米国プルデンシャルグループへの出資をはじめ、ドイツのアリアンツ、インドのリライアンスといった大手の保険グループとの資本提携に相次いで乗り出している。

――海外戦略については、どのような展望を抱かれていますか。
日本生命社長 筒井義信 つつい・よしのぶ●1954年、兵庫県生まれ。兵庫県立神戸高校、京都大学経済学部卒業。77年日本生命保険入社。長岡支社長、企画広報部長などを経て、2004年取締役・総合企画部長に就任。常務執行役員、専務執行役員などを経て、10年代表取締役専務執行委員。11年4月に社長就任。

筒井 新年度からスタートする3カ年計画「みらい創造プロジェクト」には2つの柱があります。一つはすでに申しあげたように、販売面で圧倒的なナンバーワンになること。もう一つの柱は、財務・収支基盤をさらに強化することです。海外展開は、後者の一つとして位置づけています。

株式会社であれば、大きな会社を買収して連結することによって企業価値を高めていく方向もあろうかと思います。しかし私たちは相互会社であり、まだその道は取りたくないと思っています。相互会社の目的は保険契約者にどれだけ利益を還元できるのかということに尽きますから、海外展開に際しても現実的なリターンを得ていくことが何より大切です。

海外でビジネスすることに関して、私たちはまだファーストステージにいます。ビジネスにリスクはつきものですが、とくにファーストステージにおいては、信頼できるパートナーと組み、確かな情報を知ったうえで海外に進出していくことが重要だと思いますので、今は、そのためのパートナーづくりをしているところです。組む相手は、その国や地域で歴史があり、堅実で、哲学を共有できるようなパートナー、いわば「強者連合」という形で一緒にビジネスができればいいと考えています。

パートナーと一緒にやっていきたいことは3つあります。ひとつは資本参加です。これは、対象の会社を全部買収するのではなくマイノリティ出資を基本として、配当で成長の果実を得たいと思います。2つめは業務提携。例えば商品を相互供給したり、共同でファンドを運営する形などが考えられます。最後はパートナーとの人材交流。人材の派遣等を通じて本社のグローバル人材の育成につなげたいと思っています。