あらゆる産業にイノベーションを起こすDX

シュンペーターは、あらゆるイノベーションには共通する方法論があると言います。それをシュンペーターは「新結合(Neue Kombination)」と名づけました。

新結合を一言で言えば、「これまでとは異なる要素の組み合わせによって新たな価値を創造すること」を指します。これこそが、イノベーションの本質であることをシュンペーターは見抜きました。

この「新結合」こそ、デジタル時代にイノベーションを力強く牽引するものと期待されています。

なぜだと思われますか?

デジタルの本質は、あらゆる情報を0と1のビットに変換してしまうことにあります。そうなると、これまで融合できなかったもの同士を融合させることが可能になります。

たとえばバーチャルとリアルの融合です。フィン(金融)テック、アグリ(農業)テック、フード(食品)テック、ヘルス(医療)テック、リテール(小売)テックなど、「○○テック」があらゆる産業で創造的破壊をもたらしています。いずれも、既存の産業にデジタル技術を「新結合」させることで生み出されるイノベーションです。

業種の垣根も超えられる

さらには、デジタルを介して「異業種」間の新結合も始まっています。

保険と医療を組み合わせた「インシュアヘルス」、農業と食を組み合わせた「アグリフード」など。「スマートシティ」にいたっては、衣食住や社会インフラなど、多様な産業を融合させ、集積効果を狙ったものです。

今、「オープンイノベーション」も注目されています。組織のイノベーションを起こすために外部とアイディアなどを融合させることを指します。これも、まさに「新結合」にほかなりません。

デジタル時代は、100年前にシュンペーターが唱えた新結合の機会をいたるところに見つけることができます。

しかもデジタルのパワーを活用すれば、生産性も創造性もケタ違いに高めることができるはずです。DXが時代のキーワードとなっている今日、シュンペーターの「新結合」はそのイノベーション量産パワーを全開にするはずです。