資本主義は50年周期

明治維新以降の日本は、近代化の波に乗って目覚ましい成長を遂げました。そして戦後の日本は再び高度成長を実現、「東洋の奇跡」と呼ばれました。

その立役者は、明治・大正・昭和を代表するアントレプレナーたちでした。

ハーバード大学の社会学者エズラ・ヴォーゲルの『ジャパン・アズ・ナンバーワン』が出版されたのが1979年です。このころが、まさに日本のピークだったのではないでしょうか?

それから10年後、平成に入ってバブルが崩壊、日本は坂道を転げ始めます。それが今や四半世紀を超えてずっと続き、「失われた30年」と言われるようになりました。

シュンペーターは、「景気循環論」を提唱しました。

これは、資本主義はイノベーションによって、50年の周期で好況と不況の波を繰り返すというものです。「コンドラチェフの波」として知られています。

日本では今、「平成の失敗」説がまことしやかに唱えられています。失われた30年が、ちょうど平成とかぶるからでしょう。しかしその中でも、先述した「大ぼら3兄弟」をはじめ、超成長を遂げた日本企業も少なくありません。彼らにとっては、不況期こそ、次世代成長を仕掛ける絶好の機会なのです。

世界恐慌も健全な循環

シュンペーターは、1929年に世界をどん底に陥れた大恐慌ですら、経済にとっての「適度なお湿り」だと看破しました。循環論からみれば、イノベーションがもたらす健全な波動に過ぎないというのです。

日本もこの世界的な波を頭からかぶって昭和恐慌に陥りましたが、その後見事に立ち直っていきました。そしてコンドラチェフの波の予言通り、50年後の1979年には、まさに世界の頂点に立ったのです。

この波動説に従えば、次のピークは10年後にやってきてもおかしくありません。だとすると、今こそ日本にとって、次の成長の波に向けた大きく舵を切る絶好のタイミングだといえるのではないでしょうか?