大谷翔平や藤井聡太のような「新時代人」の経営者版

このタイミーを創業した小川嶺さんは、現役の大学生。起業したのは2017年、彼が20歳のときです。

最初に小川さんに会って話を聞いたとき、正直に言えば、私は彼に嫉妬しました。

どうして自分がこのビジネスを思いつかなかったのだろうと悔しく思っただけでなく、ビジネスを数字で分析できること、ビジネスモデルやマーケティングに関してもいっぱしの社会人よりずっとよく勉強していること、謙遜と自信のバランスが絶妙なこと、希望に満ち溢れていて人から愛される力があることなど、「すごい」としか言いようがなかったからです。

小川さんは私にとっては令和時代を象徴する人で、将棋の世界で言えば藤井聡太さん、野球の世界で言えば大谷翔平さんのような「新時代人」の経営者版だと思っています。

タイミーは、2021年には伊藤忠、KDDI、香港を拠点とするヘッジファンドなどから53億円もの資金を調達するなど、多くの投資家がそのポテンシャルの高さを評価しています。

私は、小川さんがこれからその資金を使って大きな挑戦をし、タイミーの業績を伸ばしていく未来を確信しています。

そして小川さんをはじめ、できるだけ多く「令和型」の若い経営者と会い続けることは、私が「今、起きている変化」を知るための土台になっているのです。

大学3年生の女性エンジニアが開発したランプがおもしろい

私は、高校生や大学生で起業した若者や起業を考えている人たちとも、どんどん面談の時間をつくっています。

最近のエピソードを1つ、ご紹介しましょう。

大学3年生のある女性エンジニアが開発したのは、心臓の鼓動に合わせて光るランプです。ドキンドキンという心臓の動きを光の点滅によって可視化し、それをイヤリングにしたりブレスレットにしたり、指輪にしたりして身につけることができるというものです。

彼女がオンライン面談で私に相談したのは、「これをどうやって売ればよいか」でした。彼女は「心臓の鼓動に合わせて点滅するランプがあったらきっと楽しい」と思い、それを作りたいという思いだけで開発に邁進したのです。

私は、彼女のエンジニアとしての高い能力と、「作りたい」という強い思いから生まれたそのランプを、とてもおもしろいと感じました。

そして彼女に、「これは自分以外の人の鼓動と連動させるのがいいと思います」とアドバイスしました。

例えば、世界で活躍する韓国のアイドル。その鼓動に合わせて明滅するブレスレットがあって、ライブ会場でそのアイドルの鼓動が手元で光るとしたら、ファンはきっとそれを握りしめるでしょう。

あるいは、自分の子どもの鼓動に連動するリングがあったら、子どもが保育園にいるときにパパやママがそれを握りしめて仕事をするでしょう。

「愛する人の代替になったら、その明滅には特別な価値が生まれるのではないか」と思ったのです。

私がそんな話をすると、彼女は「早速、開発してみます!」と張り切った様子でした。

このようなやり取りはそれだけでも楽しいものですし、さらに彼女が次の商品を開発し、それが実際に世に出て人気を集め、成功した彼女がまた次の挑戦をしていくかもしれないと考えるとワクワクします。