会議で自己主張するために「そもそもさ、それって、やる意味あるの?」と文句をつけてくる人には、どう対処すればいいか。教育コンテンツプロデューサーの犬塚壮志さんは「代案もないのに前提をひっくり返す『そもそもオジサン』の多くは、悪気がないので直そうとしない。こういう相手とは決して衝突せず、味方に引き入れるといい」という――。
空のコンファレンスミーティングルームの前
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代案が出るわけでもなく、進行だけが遅れていく

「そもそもさ、それって、やる意味あるの?」

白熱した会議で皆が懸命に案を出し合っているときに、「そもそもさ~」を枕詞にして場をしらけさせる人に出くわしたことはないでしょうか? 代案を出すわけでもないのに、会議の進行を遅らせるような発言をするめんどくさい人です。

現在、私はコミュニケーションスキルを中心とした企業向けの研修講師や人材育成のコンサルティングを行っていますが、そこで特に若手の人たちからよく聞く悩みがあります。自分が一生懸命考えてきても、目上の人が会議を停滞させるような発言をしてきて、そのときに上手く切り返せないというのです。結果、会議だけでなくプロジェクトそのものが進まなくなったり、自分の案が潰されてしまったり……。

その原因となっているのが、まさに、「そもそもさ~」と枕詞をつけては水を差し、会議の進行を遅らせる人の存在です。役員や部門長などある程度のキャリアがあり、もしくは年次の高い男性に多いことから、私は「そもそもオジサン」と呼んでいます。

こういう目上の人たちに邪魔をされても、周囲の人はなかなか言い返せません。でも、心の中では、

「なんで、このタイミングでそれ言うの?」
「“そもそも”といえば議論に参加してると思ってるのかな?」

と思ってしまうことも少なくないようなのです。

そんな「そもそもオジサン」のせいで、チームや組織全体の生産性が下がってしまう状況を防ぐべく、今回は「そもそもオジサン」の発言を鮮やかに切り返すテクニックをお伝えします。

決して衝突せず、説き伏せようとしてはいけない

「そもそもオジサン」の発言に切り返す際のポイントは、「衝突しないこと」、「説き伏せようとしないこと」、そして、「相手の口から言わせること」です。

切り返しの手法としては、「質問」を上手く使っていきます。「そもそもオジサン」には、大きく以下の3つのパターンがありますから、質問もこれらの状況に応じて使い分けます。

パターン①:会議の主導権を握りたがる「カットイン」パターン
パターン②:とにかく新しいことはやりたくない「めんどくさがり」パターン
パターン③:責任を背負いたくない「ビビり」パターン

じつは、これらのパターンの背景には、「そもそもオジサン」の本音が隠れています。「会議に参加している感を出したい」「知的に見せたい」「その案を(自分は)やりたくない」のような本音です。「そもそもさ~」以下の発言は建前として捉え、本音に対してアプローチすることが重要です。

相手にノーと言わせない質問をして、上手に切り返していきましょう。具体的な切り返しの質問例をパターン別に紹介します。